2023 Fiscal Year Research-status Report
外国にルーツをもつ子どもに対する「発達障害」カテゴリ適用過程の臨床社会学的研究
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20K02575
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Research Institution | Nagoya University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
竹内 慶至 名古屋外国語大学, 現代国際学部, 准教授 (80599390)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末次 有加 大阪総合保育大学, 公私立大学の部局等, 講師 (40784046)
金南 咲季 椙山女学園大学, 人間関係学部, 講師 (80824979)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 外国にルーツをもつ子ども / 移民的背景 / 発達障害 / 自閉スペクトラム症 / 特別支援教育 / 特別支援学校 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、外国にルーツをもつ子どもに対して「発達障害」カテゴリが適用される過程を解明し、「発達障害」カテゴリが適用された子どもは、その後どのような処遇を受けるのかについて明らかにするものである。 2023年度は、特に特別支援学校における観察調査を1ヶ月に1、2回程度、特別支援学校に勤務する教員との意見交換会を2、3ヶ月に1回の頻度で実施した。観察調査では、特別支援学校(小学部)の特定学級に入り込み、外国ルーツの子どもと他の子どもたちの間における相互行為、教員との相互行為を中心に観察を行った。外国ルーツの子どもの日本語の発話は時々見られ、意味あるやりとりも観察することができた。しかし、教員と外国ルーツの子どもと間での継続的な言語コミュニケーションがどの程度成立しているのかについては明確には判断することができなかった。また、教員も当該児童との言語によるコミュニケーションを図ることに苦労している様子が伺えた。 他方で、例えば算数の授業において計算課題が課せられた時や、音楽の授業で楽器演奏を募った時などには、当該児童から適切な「反応」は返ってきていた。つまり、子どもと教員の間のコミュニケーション自体が成立していないわけではなく、教員が当該児童に向けて言っている内容自体は受け取ってはいるが、それに対する(言語的な)返答が観察できないだけであると解釈することができた。 上述のような個々のやりとりについては観察調査によって把握し記述することができたが、教員や教員集団の児童に対する「まなざし」については調査が実施できていない。そのため、次年度も継続的に同特別支援学校にて調査実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた質問紙調査を実施することができなかった。研究代表及び研究分担者の私事による遅延及び他の業務の多忙化によって調査実施地の確定にまで至らなかった。 特別支援学校における調査については継続的に協力を得ることができているため、2024年度も引き続き調査を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、調査協力を依頼し、調査実施地の確定、アンケート調査の実施にこぎつけたい。 2023年度に調査を行なった特別支援学校において、継続的に調査を行う。
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Causes of Carryover |
調査研究の実施が遅れているために未使用額が生じた。次年度の調査研究及び研究成果の取りまとめの費用として使用する予定である。
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