2023 Fiscal Year Annual Research Report
「移動する地方の女性」の移行と職業教育に関する追跡的研究
Project/Area Number |
20K02585
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
片山 悠樹 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (40509882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾川 満宏 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (30723366)
都島 梨紗 岡山大学, 社会文化科学学域, 准教授 (70779909)
上地 香杜 静岡大学, 教職センター, 特任助教 (00907652)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | キャリア形成 / 専門学校 / 地方の女性 / 専門職 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、収集した調査データをもとに成果をまとめた期間とした。成果概要は次の通り。専門学校の若者を題材に,「脱工業化社会」における若者の移行と初期キャリアの形成を検証する。なお、分析に際して、ジェンダーと職業教育に注目する。 ・ジェンダー:サービス業の拡大によって女性の労働参加率が(再)上昇している。ただし、上昇しているのは非正規雇用であり、女性のキャリアは必ずしも安定的ではない。むしろ、女性の間で正規雇用/正規雇用の二極化が生じつつある。そうしたなか、不安定な移行やキャリアを歩む日本の女性を扱う研究がいくつか登場している。 ・職業教育:「工業社会」では、要求されるスキルが低くても収入の安定した職業がある程度存在したが、「脱工業化社会」ではそうした職業は少なくなり、これまで以上に知識やスキルが必要とされるようになっている。そのなかで、職業教育の役割に注目が集まりつつある。 以上の動向を念頭におくと、職業教育機関である専門学校は、女性のキャリア形成にいかなる効果を持つのか、そのことを検討することに一定の意義がある。 結果を一部を示すと、教育・社会福祉といった「社会サービス」産業や理美容などの「消費者サービス」では、専門学校は女性のキャリア系において一定の効果をもたらす可能性がある。ただし一方で、「望ましい」能力の性別分離を維持/強化する可能性が示唆される。 上記の結果は、職業教育研究にいかなる広がりを持つのか。若年人口や高卒層が多かった「工業社会」から、若年人口が減少し高学歴化した「脱工業化社会」へと変化するなかで、職業教育の役割・意義の再考の必要がある。人口減少・高学歴社会のなか、「社会サービス」や「消費者サービス」の労働環境を整備とともに、その担い手をいかに育成すべきか。その一端を職業教育が担っているため、専門学校以外の機関でも役割・意義を検討する必要がある。
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