2021 Fiscal Year Research-status Report
新学習指導要領の導入が自治体・学校に及ぼす影響に関する調査研究
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20K02587
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
押田 貴久 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 准教授 (40573879)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 新学習指導要領 / 独自カリキュラム / 教育課程特例校 / カリキュラム政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021(令和3)年度は,先の児玉科研の【追跡調査】を進めるとともに,外国語教育を中心に自治体独自カリキュラムの存続・廃止の実態を訪問調査を通じて確認した。 まず,文部科学省の資料より,教育課程特例校制度の現状を確認した。2021(令和3)年4月現在で,指定されている管理機関は207件,指定学校数は1,768校である。前年度の2020(令和2)年度4月時点で214件,1,868校となり,同じく2019(平成31)年4月時点では258件,2,434校であったことからさらなる減少傾向にある。特に小学校の外国語教育が本格実施となったことで,廃止する自治体・学校が多く見られる。中学校においても本格実施に伴う見直しが種々図られているが,「言語・コミュニケーション」と「地域学習」が今なお特別の教育課程として,設定されている。なお,存続・廃止の事例は地域の状況によって様々である。 例えば,宮崎県えびの市では,2008(平成20)年度から小学校全学年において「英会話科」を実施していたが,小学校低学年も予備時数(20時間)で実施することとなり,2020(令和2)年3月末で全小学校の指定を廃止している。しかし,中学校では学力向上の観点から英語科教員が「英語表現科」を担い,継続している。一方,沖縄県金武町では,小学校の「英語活動」は低学年においても継続的に実施しているが,学級担任とALTを中心に取り組まざるを得なかった中学校では「英会話科」を廃止している。 また,岩手県大槌町では,「ふるさと科」を教育課程特例校制度も一時利用したが,小中一貫教育の制度化により,現在では申請することなく,引き続き取り組んでいる。このように新学習指導要領以外の要因も考慮する必要があることが確認できた。 これらの訪問調査を踏まえ,質問紙調査の準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍による緊急事態宣言等のため,訪問調査が制約されたため,予定通りの訪問調査及び質問紙調査が実施できなかった。しかしながら,訪問調査等を通じ,一定のデータを入手し,まとめることはできている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である2022(令和4)年度は,【質問紙調査】を実施し,全国的な動向を押さえたい。それと併行し,【訪問調査】や【WEB調査】を通じて,各地の実態把握を務める。 各自治体の動向から次の学習指導要領改訂に向けての課題を探るとともに教育課程を巡る制度のあり方を検討する。
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Causes of Carryover |
2021年度もコロナ禍により,【訪問調査】にかかる旅費の支出が減じるとともに,【質問紙調査】も見送らざるを得なかった。 2022年度は,【質問紙調査】を実施することで予算執行に努めたい。
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