2021 Fiscal Year Research-status Report
日本の児童保護事業と学校教育の普及における近代的子ども観の構築に関する研究
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20K02590
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Research Institution | University of Niigata Prefecture |
Principal Investigator |
高橋 靖幸 新潟県立大学, 人間生活学部, 講師 (30713797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
元森 絵里子 明治学院大学, 社会学部, 教授 (60549137)
土屋 敦 関西大学, 社会学部, 教授 (80507822)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 子ども観 / 子ども史 / 児童虐待 / 社会的養護 / 児童労働 / 社会学 / 子ども社会学 / 社会構築主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度研究実施計画に基づき、(A)子ども社会学・子ども史研究の研究動向を理解するため文献講読を行うこと、(B)各自資料収集・読解により子ども観の検討を行うこと、(C)前年度の各自の成果を発表していくことに取り組んだ。 (A)については、文献の情報交換を継続的に行い、オンラインによる定期的な研究会での文献講読・文献検討を実施した。(B)については、公共図書館、大学図書館の利用、および国立国会図書館の抽選予約制や遠隔複写サービスなどを活用し、新たな歴史資料の収集に努めた。結果、各自が本共同研究の全体の成果につながる、新聞記事、雑誌記事、報告書、委員会議事録等の歴史資料の収集を実現することができた。(C)については、これまでに各自で収集した歴史資料の検討と研究会での議論の成果の一部を、元森絵里子・高橋靖幸・土屋敦・貞包英之『多様な子どもの近代:稼ぐ・貰われる・消費する年少者たち』(青弓社、2021年)として刊行した。戦前期日本における子どもの近代化の歴史を「子どもの誕生」という単純かつ一枚岩的な図式で捉えることなく、複数的・重層的な観点から記述する子ども研究の意義と可能性を、児童虐待、社会的養護、児童労働といった具体的な事例の研究を通じて示すことができた。また書籍の刊行後には公開型の読書会を開催し、本共同研究の成果の発信と、参加者との意見交換の機会を設けた。これらの研究成果を得て、本共同研究は今後さらに議論を重ねていき、次の成果を産出する見通しを持つに至った。加えて、研究成果の一部として、土屋敦『「戦争孤児」を生きる――ライフストーリー/沈黙/語りの歴史社会学』(青弓社、2021年)、そして元森絵里子「性と子どもの近代史――タブー視と寛容さの併存の系譜」林雄亮ほか編『若者の性の現在地:青少年の性行動全国調査と複合的アプローチから考える』(勁草書房、2022)を刊行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルス感染拡大防止対策の徹底を強いられるなかにあっても、3名の共同研究者がそれぞれ、各々の担当する時代や領域の子ども問題について、当初の計画に則り、歴史資料収集と読解を継続することができている。3名の勤務地は東京、大阪、新潟と地理的な隔たりがあるものの、オンライン会議サービス 「Zoom」を使用して研究会を定期的に開催することで、研究課題の確認、研究内容や進捗の共有を図ることができた。研究経過の共有のために必要な研究会の開催は、新型コロナウィルス感染拡大が長期化するなかで、各自、本務校での業務や授業の対応に引き続き時間が割かれたが、計画的に日程を確保し定期的な研究会の開催に努めることができた。また本共同研究のこれまでの研究成果の一部を、書籍の刊行というかたちで社会に発信することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度においては、令和3年度の研究作業であった(A)子どもの歴史性・構築性をめぐる欧州の子ども社会学・子ども史研究の研究動向を理解するため文献講読を行うこと、(B)各自の資料の収集・読解により、それぞれの担当する領域の子ども観の検討を行うことを継続するとともに、令和4年度の研究実施計画に基づき、これまでの各自の研究の成果によって得られた知見と課題から、各領域のつながりや共通の歴史観を検討する作業に取り組む。また令和3年度に発表することのできた研究成果を基軸にして、次の成果の具体的な内容について引き続き検討し、その全容を明確化していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大防止の対策が強いられる状況下、資料収集を十分に実現することができず、特に越県移動に制限があり、旅費の使用が抑えられることとなった。加えて、越県移動による学会大会への参加も見送られたため、旅費の使用が抑えられた。また、歴史資料のデジタル化の作業に必要となる機器類の購入と、資料整理・保管のアルバイトを雇うことを控えたため、物品費と人件費の使用が抑えられる結果となった。次年度使用額は、資料収集のための旅費と、資料のデジタル化の作業に必要となる機器類の購入、アルバイト雇用のために使用する。
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Research Products
(4 results)