2021 Fiscal Year Research-status Report
教職課程コアカリキュラム導入前の新任教師のライフヒストリーに関する研究
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20K02599
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Research Institution | Kansai University of International Studies |
Principal Investigator |
川村 光 関西国際大学, 教育学部, 教授 (50452230)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 新任教師 / ライフヒストリー / 教員養成 / 教職課程 / 教職課程コアカリキュラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、教職課程コアカリキュラム導入前の教員養成教育を受けた、公立小学校新任教師を対象にした、教師の力量形成に関するライフヒストリー・インタビュー調査研究である。今後、教職課程コアカリキュラムによる養成教育を受けた新たな教師が出現してくる。彼らがどのようなプロセスを経てどのような教職アイデンティティや教育観などを形成していくのかということを明らかにするためには、インタビューによる詳細な聴き取りが不可欠である。しかし、彼らのみを対象としていては彼らの特徴を掴むことができない。旧教職課程による養成教育を受けた現在の新任教師との比較が必要となる。 そこで、登場してくる新タイプの教師のことを射程に入れ、2021年度は旧教職課程に基づいた養成教育の影響を捉えるために、現行の旧教職課程において教職に就いた新任教師を対象にし、彼らが教員養成時代の学修経験を明らかにし、教職1年目の教育実践に対するその影響をインタビュー調査によって究明し、考察を行った。 その結果、次にことがわかった。まず、教職課程に関することは次の通りである。第一に、有益であった学修内容は、子ども理解と彼らへの対応を取り扱ったもの、授業計画立案に関するもの、学校と教職について経験的に学修できるものである。第二に、身につけたと考えているものは、教師としての基礎、コミュニケーション力、学び続ける力であった。第三に、専門職としての教師に必要な態度についてはあまり修得することができていなかった。 一方、教職課程外の有益な経験については次の通りである。彼らは、多様な子どもを理解したうえで彼ら一人ひとりへの対応する方策や、教師のさまざまな指導方法、異年齢の人々とのコミュニケーションの取り方などを学んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では3地域の公立小・中学校の新任教師にインタビュー調査をする予定であった。しかし、コロナ禍のため、予定通りに調査を実施することができず、計画を1地域の公立小学校に勤務する新任教師に焦点化したものに変更した。2021年度はその計画通りに調査研究をすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は2020年度から2021年度にかけて実施したインタビュー調査に協力していただいた教師を対象に、再度、インタビュー調査を行う。そのうえで、1回目の調査時の語りと、2回目の調査時のそれを比較することを通して、彼らの教育実践に対する教員養成時代の経験の影響の意味づけについて検討を行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、調査対象の教師数を減らし、また調査エリアを近郊地域に限定したことなどにより、当該助成金が発生した。 コロナ禍においても調査できる環境が整いつつあり、また、調査者と調査協力者が対応できるようになってきているので、今後は、より調査を充実させるとともに、教師教育改革に関する情報を積極的に収集し、考察を行うことを通して本課題研究の目的を達成する計画である。
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