2021 Fiscal Year Research-status Report
高校生等への修学支援及び経済的側面からの進路指導の在り方に関する研究
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20K02600
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
藤森 宏明 北海道教育大学, 大学院教育学研究科, 准教授 (20553100)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 奨学金制度 / 教育費負担 / 進路指導 / 高校教育 / 高等教育 / 情報ギャップ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高等教育機会均等のための学費援助政策の課題として、近年の制度の多様化・複雑化から生じる「情報ギャップ問題」に着目し、この点からの高等学校における進路指導の課題及び解決策を実証的に明らかにすることを目的としている。 具体的な検討課題として以下の3点①学費援助政策に関する制度がどの程度正確に学校関係者(教職員)及び生徒・保護者へ理解されているか。②学費援助政策に関する制度の運用をどのような学校組織マネジメントによって実施し,このことにおける課題は何か。③ ①及び②のを基に、どのような制度改革及び制度運用が望ましいか。について実証的に明らかにすることを計画としている。 研究実施計画の2年目に当たる2021年度は、これらの①~③のうち、①及び②を中心的に進めた。まず、①については日本学生支援機構の学生生活調査(2010年度)の個票をもとに,奨学金の受給要因において,奨学金情報の認知経路との関連性を分析した。これについては,特に高校の先生・関係者からの情報が奨学金受給に重要な意味を持つととともに,この影響力が設置者別・家計年収別によって異なっていることが明らかになった。この知見を中心に論文を執筆し,年度末に本学の紀要に投稿をした(掲載は次年度)。②については,初年度に実施したインタビュー調査を分析・検討を行った。その結果,地域・進学実績・校内体制等によって,情報提供に関する指導方法や課題が異なっていることが明らかになった。この知見を学会(日本教育行政学会)で発表し,意見をもらうことで研究の方向性をさらに深めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、交付金が申請時よりも減額されているため、第2年次も費用を節約しつつ研究を行った。研究成果としては,学会発表と日本学生支援機構の個票データの分析を行い,年度末に紀要論文を提出した(発行は次年度となる)。ただ,研究を進めるにあたり,所属大学がカリキュラムの改変等により,1年次に比べ研究の時間を作ることが難しく,この程度の成果に留まった。予算の節約という点では,発表した学会がオンラインで実施されたため,予算を削減することができた。 以上のことから若干の課題はあるものの概ね2021年度に計画していた研究は概ね実施できている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、基本的には上記の①と②を中心に研究を進めていく。その具体は以下を予定している。 (1)サンプルサイズ2000程度のweb調査を高校生に実施し,金融リテラシーと情報ギャップとの関連性について調査検討を行う。1年次のインタビュー調査は高校関係者という情報提供の送り手側の調査であったが,今回実施する生徒調査は,生徒という受け手側において,奨学金等,教育費に関する情報をどこからどれだけ正確に得ているかという調査である。対象は,高校2年生・3年生とし,地域別・学科別・学力別等での情報ギャップの実態を明らかにすることを目的とする。 (2)2021年度に学会で発表した内容をさらに分析を行い,論文にする。学会で発表した内容はインタビュー調査の一部に過ぎず,先行研究と関連させつつ,地域別,進路指導体制別,学校規模,学科別,学力等によっても担当者が課題として押さえている部分は異なっており,これを再度整理を行い,進路指導における奨学金指導の課題について検討し,論文の形でまとめる。
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Causes of Carryover |
令和3年度(2年目)は学会発表を行ったものの,大会がオンライン開催になったため,このための旅費を使用しなかった。また,令和4年度(3年目)において,webによる大規模調査を実施する際の申請当初の予算(約200万円)を少しでも確保するため,極力別予算等で研究を進め,調査のための予算を確保したためである。
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