2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K02602
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
小原 一馬 宇都宮大学, 共同教育学部, 准教授 (20396617)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 美輝 龍谷大学, 文学部, 教授 (80547753)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | スクールカースト / 生徒文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年2月、マクロミル社に登録された全国の回答者 20代から50代 2800名を対象にアンケート調査を行った。アンケート調査の結果、主に次のことが分かった。 ① スクールカーストがあったと感じられるのは、クラスのグループ間の人間関係が閉鎖的になって全体の風通しが悪くなり、かつその人間関係が人気によって上下関係となり、人気グループに権力が集中する時である。ただし後者の影響がより強い。 ② この二つの要因(クラスの中の風通しの良さと権力の集中)は互いに独立で、中高のクラスの雰囲気はこの二つの要因の組み合わせにより、4つの状態としてまとめることができる。すなわち「スクールカースト(風通し悪い+権力集中)」「仲良しクラス(風通し良い+権力分散)」「インフルエンサー(風通し良い+権力集中)」「疎遠(風通し悪い+権力分散)」。中学のクラスはスクールカースト、仲良しクラス、インフルエンサーの三つのタイプと中間タイプに分類可能であり、高校のクラスはそれに加え疎遠タイプが加わる。インフルエンサータイプは、手紙・メール・SNSなどの手段によって、権力が集中するという性格を持つ。高校の疎遠タイプは比較的偏差値の低い高校に多い。 ③ スクールカーストという言葉がなかった時も、上記の状況が満たされていれば過去から振り返って、スクールカーストがあったと認識される。 ④ 今回の調査対象の年齢上限であった50代後半の男女が中学生だった1970年代後半においてすでに、スクールカーストタイプのクラスが20%程度存在し、1980年代前半には30%程度になって今に至る。また中学では1970年代からすでにインフルエンサータイプのクラスが25%ほどをしめ(特に女子で多い)、現在は50%を越えマジョリティとなっている。高校では疎遠タイプのクラスが多かったが、今はだいぶ減っている。インフルエンサー型は中学ほど見られない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
モニターのアンケート調査は、当初想定していた時期より遅れ、2021年度末に行われた。その結果、アンケート調査の結果のまとめと発表が、2022年度にずれこんでいる。ただし分析は順調に進んでいる。またコロナ禍のため、予定していた大学生を対象とした自己肯定感に関する質的調査は予定通り進められていない。調査の対象としていた学生のボランティア活動がコロナ禍のため、通常通りの活動ができていないということがある。
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Strategy for Future Research Activity |
モニターのアンケート調査の分析が主となる。興味深い結果がすでに出ているので、今後はそれらをまとめて学会発表や論文作成につなげていく予定である。また調査の結果、当初、予想していなかったインフルエンサータイプのクラスが中学校で数多くみられることがわかったので、それらのクラスの人間関係が実際どのようになっているのか、インタビューを通じて明らかにしていきたい。また自己肯定感に関する質的研究に関しては、やっと学生のボランティア活動が再開されているので、これから行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度の学会発表を行えなかったため。次年度の学会発表の際に用いる予定。
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