2021 Fiscal Year Research-status Report
思考表現スタイルの日米仏伊比較ー<論理的>に考え書く事の理論と実証研究ー
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20K02604
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渡邉 雅子 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (20312209)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 思考表現スタイル / 論理的思考 / 小論文の国際比較 / 小論文の歴史 / 書く教育の国際比較 / 歴史教育の国際比較 / 比較教育 / 比較文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年は、フランスの思考表現スタイルをまとめた著書の刊行を行い、この著書に関連して6つのシンポジウムで講演や発表を行い、大学等でフランス語教授に関わる研究者や世界で日本語教育に携わる研究者などの異領域の研究者にもアメリカと比較したフランスの思考表現スタイルの知見とその意義、すなわち言語教育にどのように思考表現スタイルの概念が役立つかを広めることが出来た(詳しくは次頁の研究成果を参照されたい)。さらに、高大接続や社会理論の視点からも発表を行い、評価される書き方に現れる論理的思考が国や文化によって異なることが、教育のグランド・デザインにいかに影響を及ぼすかについてフランスを例に示した。これらの発表からは多くのフィードバックを得ることが出来た。 4カ国比較のモデルの執筆を進めると同時に、日本の思考表現スタイルのフォローアップ調査の準備を整えた。フォローアップ調査では、これまで行った初等教育に加えて、中等教育における小論文の教育と評価法および歴史教育の調査を行う予定である。その前段階として、書く教育の全体像を掴むために初等から中等教育の国語教科書の読み込みを行った。1996年に行った調査と比較すると、小論文も含めて多様な書く型の紹介は増えたが、実際にどれほど書く指導が行われているのかは未知数である。また、書く目的や教育の体系性については教科書から読み取ることは困難で、今後の調査で明らかにしていきたい。またアメリカとフランスの小論文の比較分析と歴史についてはまとめることが出来たが、日本とイランの小論文の歴史を明らかにできる文献の入手が困難であったため、引き続き文献探しを行い、計画を遂行していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナの影響で海外調査は実行できなかったが、それを補う文献調査を進めて、ほぼ予定どおりに進展している。フランスとアメリカについては、調査と執筆をほぼ終え、来年度はイランと日本について仏米と同様の項目を調査する。4カ国比較のモデルの部分については、初稿を完成させることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、イランと日本についてすでに完了した仏米と同様の項目を調査し、まとめる作業を行う。海外の調査(イラン)は、来年度も困難であることが予想されるため、入手可能な歴史教科書とシーア派イスラーム学教科書、作文教科書と文献調査を行い、確認の作業はインタビューにより補完する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で、海外調査ができなかったため。
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