2021 Fiscal Year Research-status Report
Light and Shadow of Teacher's License Renewal System from the Teachers' Point of View
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20K02609
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山田 浩之 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (60258324)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 教員免許更新制 / 教員免許更新講習 / 教員 / 教員免許更新制の廃止 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度には、研究対象である教員免許更新制の廃止が発表された。そこで研究対象を広げ、更新制廃止に対する教員の意識についても調査を実施することとした。 2021年7月から8月に教員を対象としたアンケートを実施するとともに、教員に対するインタビューを実施した。アンケートでは教員免許更新制をどのように評価するかを聞いた他、廃止についての評価、今後の講習、研修のあり方の希望などについて聞いた。また、教員の職場環境やコロナ禍に対応したオンライン授業の実態についても質問している。 アンケートの分析結果については、広島大学大学院人間社会科学研究科の紀要『教育学研究』第2号に「教員免許更新制の終焉をめぐる教員の意識」として発表した。また11月に開催された中国四国教育学会の大会で報告を行った。 アンケートの分析結果は次のようにまとめられる。1)教員の多くが教員免許更新制を強く批判しており、経済的、時間的な負担になると考えていた。一方で、講習に関しては一定の評価がなされていた。2)教員は、通常の研修とは異なる大学での講習をある程度重視する一方で、すでに行われている研修で十分と考えていた。つまり、教員免許更新講習に代わる新たな講習が求められているのではない。従来の研修の内容を見直し、負担を増やさずに改革することが望まれている。教員免許更新制が教員の負担であったことは、「廃止されて良かった」という教員の言葉に集約されている。3)、教員免許更新制が廃止された後に教員が求めるのは、授業実践や児童生徒指導など、すぐに教員としての職務に役立つ知識、技術であった。教員免許更新制の必修領域や選択必修領域で重視されていた教育に関する内外の情報や教育の理論など基礎的な知識はそれほど重視されていなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍により調査の実施は遅れることになったが、2021年度にはほぼ計画通りに調査を実施することができた。また、分析結果についても、概要の報告に過ぎないが論文としてまとめ、発表した。このように研究は順調に進んでいるといえる。ただし、計画していた海外の学会などでの調査報告ができなかった。この点については、2022年度にさらに分析を進め、国内外で分析結果の報告を行う予定である。すでに招待講演などの依頼もあり、順調に成果の発表ができるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度には、2021年度に実施したアンケートをもとに、さらに分析を継続する。また、教員を対象としたインテンシブな調査を実施したい。研究内容を教員免許更新制に対する教員の意識だけでなく、その廃止に対する教員の反応にまで広げたい。 分析の結果は9月の日本教育社会学会、11月の中国四国教育学会の大会で報告する。また、6月、8月に台湾のシンポジウムや学会に招へいされており、そこでも成果を報告する予定である。
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Causes of Carryover |
海外での報告を計画していたが、コロナ禍の影響で報告ができなかった。2022年度には海外の学会での招待講演も予定されており、2021年度の繰り越しを海外旅費として使用して報告する予定である。
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Research Products
(2 results)