2020 Fiscal Year Research-status Report
豪州・遠隔地学校の同僚性構築に女性教員が担うフォーマル/インフォーマル役割の研究
Project/Area Number |
20K02612
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Research Institution | Fuji Women's University |
Principal Investigator |
伊井 義人 藤女子大学, 人間生活学部, 教授 (10326605)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | へき地 / 女性教員 / 学校組織 / ライフイベント / キャリア形成 / 職場環境 / オーストラリア / 北海道 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、豪州の遠隔地学校(へき地校)に勤務する女性教員が担うフォーマル/インフォーマルな役割を、同僚性構築の側面から明らかにすることである。その目的に沿って、20年度は「先行研究では女性教員のキャリアをどのように捉えてきたのか」「豪州・遠隔地の女性教員の職場環境を州教育省・大学はいかに理解しているのか」に関する調査研究を進める予定であった。しかし、新型コロナウィルスの感染予防のため豪州での現地調査の実施ができなかった。そのため、豪州との比較軸を持つために、新たに日本(北海道)、主に遠隔地学校に勤務、もしくは勤務経験のある女性教員の職場環境やキャリア形成に関する面談調査を実施を計画していた。この面談調査の実施により、本研究の最終目標である日本の教員配置方針(特に遠隔地域)に何らかの示唆を与えることに役立つと考えていた。しかし、コロナ禍の影響で、20年度はオーストラリア・日本での現地での面談調査が未実施となった。そのため、20年度は先行研究の検討に本年度の研究活動は留まった。 先行研究の検討においては、以下の点が明らかとなった。 第一に、日豪の女性教員をめぐる状況の共通点である。そこには、初等教育から後期中等教育と学校段階が進むにつれ、女性教員の割合が低下し、遠隔地に位置する学校では女性教員の勤務の継続がより困難になるという点である。この点はライフイベントと女性教員との関わりを更に調査していく視座となろう。 第二に、相違点である。両国とも、近年、女性教員の管理職(校長・副校長・教頭)へのキャリア形成に焦点を当てた先行研究が散見される。しかし、日本では女性教員の管理職割合が小さく、その割合の状況への改善策に焦点を当てた研究が多く見られた。一方で、豪州は男性教員の管理職割合が減少し、女性教員のその割合が上昇するという「逆転」減少が見られていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
豪州に加えて、日本国内の現地調査も実施できなかったことに起因している。しかしながら、先行研究の検討については、当初の予定通り進んでおり、「先行研究では女性教員のキャリアをどのように捉えてきたのか」と20年度のリサーチクエスチョンについてを整理してきた。
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Strategy for Future Research Activity |
21年度も豪州での現地調査の実施は困難であると想定される。そのため、研究期間の延長も視野に入れ、今年度は「女性教員のキャリア形成に関する幅広い先行研究の検討」「オンラインによる面談予備調査」を進めていきたい。特に先行研究の検討については、豪州と日本だけではなく、更に範囲を広げて実施する予定である。 面談予備調査については、その質問項目に限界がある。そのため、状況が改善され次第、日本での現地調査を実施したいと考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍において、豪州現地調査が未実施のため。
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