2021 Fiscal Year Research-status Report
基礎自治体の子ども関連施設の複合化をめぐる効果と持続可能性に関する国際比較研究
Project/Area Number |
20K02624
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
安宅 仁人 小樽商科大学, 商学部, 教授
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Project Period (FY) |
1990 – 2022
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Keywords | 子ども・若者 / 複合施設 / 多職種多領域連携 / 一元化 / カナダ / 北欧 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は, 日本・カナダ・北欧3か国の基礎自治体が設置する教育や児童福祉, 母子保健, 雇用・若者支援といった子ども・若者関連施設の複合化をめぐる施策と実態に焦点を当て, その効果と持続可能性を探る国際比較研究である。施設関係者へのインタビュー調査, 関係者・利用者へのアンケート調査等による実査が主な研究手法であるが, 新型コロナウイルスの感染拡大により, 国外, 国内への調査が極めて困難となった。そのため, 先行研究の整理と文献調査が主であったが, 広域通信制高校及び若者サポートステーションに対する実地調査は行うことができた。 福岡県にある株式立広域通信制高校について実地調査を行った。調査では, 特に高校にある支援センターに関するインタビューを実施した。この支援センターは, 特別なニーズにある生徒を対象に教育・福祉と連携したかたちで教育・支援を行う組織である。株式会社立の学校を設置するにいたった経緯や地元住民に受け入れられていくプロセス, 高校に対する地域の取り組みと協力など, 旧産炭地域の貧困地区の若者支援という観点からも地域のなかの学校という視点で貴重なデータを得ることができた。 佐賀県にある, さが若者サポートステーションは, 就労支援のほか, 不登校, ひきこもり, 非行, ニート等の若者の自立支援を目的としたNPO法人である。多職種多領域の専門家によるアウトリーチを積極的に行い, 特に学校教育との連携がスムーズで窓口もワンストップサービスとなっており, 子ども関連施設の複合化を検証するうえで好事例であった。 なお, 研究代表者ならびに研究分担者は, 実地調査ができなかった感染症の拡大期においては可能な限り文献・資料収集を進め, 資料研究を進めた。また, オンライン調査・分析のための機材整備と質問項目の検証を実施した。実地調査により得たデータは, 主に質的データ分析の手法により検証し, その一部の知見は公表済みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大のため, 国内外の緊急事態や移動制限により, 海外の渡航調査はもとより移動を伴う国内(北海道外)の調査も困難な状況に直面し, 当該年度に予定していた現地訪問・インタビュー調査が未実施となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
海外調査については, オンラインによるインタビュー調査の実施を行う予定である。また, 国内調査についてもインターネットモニターを利用して施設利用者を対象にしたオンライン調査の実施を行う予定である。あわせて, 文献・資料の収集及び今年度の実地調査で取得したデータについて, 質的分析をさらに進めていく。
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Causes of Carryover |
当該年度において新型コロナウイルスの感染拡大に伴い, 主に国外の移動を伴う出張が大きく制限されたことから, 旅費の執行が困難になった。国外についてオンラインによるインタビュー調査の実現を検討する。国内については各地の感染状況をふまえながら現地調査を実施する予定である。
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