2020 Fiscal Year Research-status Report
A Study on the Current Outdoor Activity of Childcare Centers and its Acceptability in Urban Cities
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20K02637
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
趙 晟恩 東洋大学, 情報連携学部, 助教 (80801480)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 保育 / 屋外活動 / 公園 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、こどもたちの、施設種別、サービス形態による生活・成育環境の「質」を一定に保つことを重視し、限られた環境資源の中で共助できる施策をたてることを目的とする。そのため、まちづくりや地域環境整備の側面のみならず、多様な保育サービスの状況を理解した上でこどものための環境改善に主眼を置いている。また、建築計画、都市計画の分野においては物理的な環境改善への施策という観点から課題に取り組むことが一般的だが、本課題に関しては「限られた資源」を有効活用するモデルを提示することを最終的な目的とする。具体的な調査は(1)都市部の保育サービスにおける「外遊び」の実態調査、(2)GISにより近隣公園、児童遊園などの遊び場の「量」の可視化、(3)前述の調査結果の分析によるこどもの外遊びを支える仕組みづくり、を計画している。 初年度は、区市町村別の状況を調査し、就学前児童人口、保育サービス利用児童数、保育サービス利用率、待機児童数ごとに近年の動向を分析した。全体的には待機児童数の減少を目標に、多方面から保育サービスを充実させることに主眼を置いている区市町村が多いため、施設数は増加傾向にはある。しかし、施設の配置計画や周辺環境への考慮までには至っていないことが多い。施設数や利用率等の増減および周辺環境、地域資源、地域要件を考慮した上で、急激に屋外空間への需要が増えている地域を選定し、調査の実施を調整している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究で着眼している課題は、待機児童数の減少を目標に保育サービスが増設されていることから、園庭を設けていない保育園が増えている地域において屋外の遊び場の需要が高まっている点を出発点としている。代表的な地域としては東京都世田谷区、足立区、中野区等があげられる。このような地域を対象に、まずは自治体へのヒアリング調査および保育サービスにおけるヒアリング調査、観察調査を予定していた。だが、2020年から蔓延した、新型コロナウィルスの流行により、緊急事態宣言中には休園を余儀なくされた期間がある他、保育サービス内の感染対策等により現地調査が困難であったため、「外遊び」の実態調査は実施できない状況であった。そのため、調査の実施順序を変更し、2020年度はGISによる公園や広場など遊び場の「量」を可視化させることを先行させた。 都市公園の整備の現状は、2019年度末の全国の都市公園等の整備量(ストック)を2018年度末と比較すると、(1)数は110,279箇所から111,525箇所と増加、(2)面積は約127,321haから約128,264haと増加、(3)ひとり当たりの公園面積は約10.6平方メートル/人から10.7平方メートル/人に増加している。だが東京都23区においてはひとり当たりの公園面積4.4平方メートル/人に止まり、低い水準である。一方、単純に公園面積を人口対比で算出しているひとり当たりの公園面積の数字のみでは、実際のこどもたちの外遊びへの影響や活動への様子等を測ることは難しく、地域ごとの未就学児の人口を考慮した傾向分析を今後予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度においても新型コロナウィルスの流行に関しては劇的な変化は見られず、保育の現場においても感染対策の強化は引き続き行われていくと思われる。だが、ワクチンの接種状況や効果などにより多少現場の状況にも変化があることと、屋外活動を中心に調査を進めることを前提に調査の詳細は詰めていく予定である。 また、現地調査も大事ではあるが、感染のリスクや懸念が少ないアンケート調査を基本として行うことも視野にいれ、調査の実施に向けて再調整を行なっている。 初年度から調査が困難な状況となり、大幅な研究手順の変更が余儀なくされているが、可能な限り現地調査を実施することにより実態調査を遂行する。
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Causes of Carryover |
初年度は新型コロナウィルスにより現地調査や見学調査等のため計画していた旅費をほとんど使用していない。調査は2021年度に行うため、その際に使用する予定である。
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