2023 Fiscal Year Research-status Report
Research on implementation of Instrument to Assess Children's Capacity for Assent: application to educational studies and medical studies
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20K02639
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Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
石山 ゐづ美 常葉大学, 保育学部, 教授 (70541704)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | インフォームド・アセント / アセント評価尺度 / 子ども / 研究説明補助資材 |
Outline of Annual Research Achievements |
インフォームド・アセント(以下I.A.)とは,インフォームド・コンセントを与える能力を欠くと判断される研究対象者が,その理解力に応じた分かりやすい言葉で説明を受け,理解し,参加への賛意を表することである。本研究の目的は,教育系分野で開発中の幼児用アセント評価尺度(Instrument to Assess Children's Assent:IACA)を医学系分野に適用し,さらに小学生に応用できる尺度に改編することである。IACAは半構造化面接調査の方法を用い,対象者の賛意の様相を評価する尺度である。研究者と子どもが対話しながら得点が記録される形式を採用し,インタビューガイドと評価基準・得点が一葉となった記録用紙として開発されている。 (1) 教育系分野 教育系IACAについて,申請者はこれまで4・5・6歳の幼児を対象として調査・解析を実施し,5歳児レベルの発達でI.A.が可能ではないかという研究成果を発表してきた。しかし海外の専門家から,7歳以上児と比較してその発達年齢の妥当性が明らかになるのではないかという指摘を受けた。そこで2023年度は,1小学校からの研究協力を得て,小学校1年生2クラス41人を対象とし,これまでと同様,レジリエンス尺度開発研究参加へのI.A.を得る設定にて,IACAを用いた半構造化面接調査を実施した。 (2) 医学系分野 医学系IACAについて,教育系IACAの構成を保持しつつ,小学校1~3年生を対象に実施可能な評価尺度として改編が行われた。希少難病家系の網羅的ゲノム解析研究への参加を提案されている小学校低学年生14人を対象に,2病院にて調査を実施した。IACAを用いた半構造化面接調査の結果,ゲノム解析研究I.A.用に開発された説明補助ICT資材の視聴効果以上に,子どもの知的発達段階および子どもの疾患受容度がIACA得点に影響を及ぼすことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アセント評価尺度(Instrument to Assess Children's Assent)を以下IACAと表記する。 研究の第一目標である,教育系IACAの標準化を達成するためには,さらに研究協力者を募集し,多数の面接調査を行い,適切なサンプル数を確保しなければならないことは明確である。2023年度は,1小学校からの研究協力を得て,IACAを用いた半構造化面接調査を実施することができた。しかし,2020-22年度,新型コロナウイルス感染拡大予防を重視する社会情勢により研究協力園への研究依頼ができず,実施見合わせ・延期となったことの影響は大きい。1年間でその遅れを解消できなかったことから,今年度も研究の進捗は予定よりやや遅れる結果となった。 一方,小学校低学年用医学系IACAの開発は進行し,2023年度に2病院での実証的研究を実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 教育系IACAの標準化を目指して,適切なサンプル数の確保と解析をし,研究成果を公表する。 (1) 幼稚園児,保護者,幼稚園教諭の協力を得て,幼児を対象とする半構造化面接調査を実施するとともに,保護者および幼稚園教諭を対象とする質問紙調査を実施する。(2) 幼児データの解析,および三者データの比較と分析により,教育系IACAの信頼性と妥当性を検証する。(3) 幼児と小学校1年生のデータ解析により,教育分野研究でのI.A.可能年齢を提示する。(4) 国内外の学会で研究発表を行い,専門家からの批評をもとに研究内容を修正し,成果を学術論文として公表する。 2. 医学系IACAを医療の現場においてI.A.が求められる児童に応用するとともに,小学校低学年用・高学年用のIACA開発を進め,研究成果を公表する。 (1) ゲノム解析研究への参加を提案されている小学校1~3年生を対象として,二重盲検無作為化比較試験を実施する。I.A.用ICT資材を説明として用いる群と用いない群の2群に分け,医学系IACAを用いてアセントの様相を評価する。これはICT資材が子どもの理解力に応じた内容になっているか否かを評価することとなる。この社会応用を通して,医学系IACAの検証を行う。(2) 小学校4~6年生を対象とする研究のI.A.に適合するよう,医学系IACAを改編する。説明される研究計画,目的,利益・不利益との整合を図り,項目ごとの評価基準となる子どもからの回答・反応の得点化を,小学校高学年用に修正する。(3) ゲノム解析研究への参加を提案されている小学校高学年生を対象として,二重盲検無作為化比較試験を実施する。I.A.用ICT資材を説明として用いる群と用いない群の2群に分け,医学系IACAを用いてアセントの様相を評価する。(4) 国内外の学会で研究発表を行い,研究内容を修正して学術論文を執筆する。
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Causes of Carryover |
2023年度は1小学校と2病院での子ども対象面接調査を実施することができた。また,国内学会および国際学会での研究発表も遂行し,計画に沿った研究費の使用が可能となった。次年度使用額が生じた理由は,2020-22年度に計画通りの研究活動ができなかった影響である。20-22の3年間は,新型コロナウイルス感染症の予防を重視する社会情勢により,研究に伴う外部からの立ち入り,および保育活動に必須でない幼児との接触をお願いできない状況であった。また,保育者は感染予防に平時以上の労力を費やしていたため,研究への協力依頼を遠慮せざるを得なかった。これらのことから,幼児を対象とする面接調査は実施見合わせとなり,調査のための旅費,人件費・謝金を使用することがなかった。 2024年度は,研究発表が採択されている国内学会がすでに3件あり,国際学会1件に採択されれば参加する予定である。教育系IACA開発では,幼児への面接調査および保護者・教諭への質問紙調査を計画している。医療系IACA開発では,ゲノム解析研究への参加を提案されている小学校低学年児童,および高学年児童対象の面接調査を計画している。2024年度はこれまでの研究の遅れを可能な限り解消する予定であり,物品費,旅費,人件費・謝金,その他全ての費目において,研究活動のための費用を使用していく計画である。
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