2021 Fiscal Year Research-status Report
韓国国家水準幼児教育課程の改定・実行過程に関する調査研究
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20K02644
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
清水 陽子 九州産業大学, 人間科学部, 教授 (70216109)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹羽 孝 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 名誉教授 (10113325)
大久保 淳子 福岡県立大学, 人間社会学部, 准教授 (10550486)
吉田 真弓 名古屋短期大学, 保育科, 准教授 (80845967)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 子ども中心 / 遊び中心 / ヌリ課程改訂 / 幼児教育の無償化対策 / 第三者評価政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は2019年7月に告示された、韓国の国家水準幼児教育課程(「2019改訂ヌリ課程」と呼ばれる)の改訂の契機及び改訂背景を明らかにすることである。韓国の現在の幼児教育制度は教育部が管轄する幼稚園と、保健福祉部が管轄する保育施設の二元体制である。幼稚園を運営するための現行の教育課程は「2019改訂ヌリ課程」、保育施設の教育課程は「第4次標準保育課程」である。今回のヌリ課程改訂のキーワードである「子ども中心、遊び中心」は、国政課題として提起された「遊び・幼児中心のヌリ課程革新」という、ヌリ課程革新方向の提案にあったことが確認できた。この提案の中にはその主要内容の一部として「幼児の自由遊び勧奨」と、「観察と記録等、幼児との相互作用協調」が提案されていた。 また『標準保育課程』の持つ意義と特徴について、今次改訂ヌリ課程の規定の必要性、改訂の方向、及び改訂システムの内容を明らかにし、日本の国家水準幼児教育課程についての示唆点を整理した。韓国の今次改訂では幼児教育の無償化政策と、第三者評価政策との立体的な取り組みがあること、それを支援するための政府資料が準備されていたことの重要性を考察した。以上の改訂方向の立案と改訂作業は、韓国幼児教育学会を中心とした研究機関への委託であることは、大きな示唆点であった。改訂担当T/Fはこれを根拠にして、「幼児中心・遊び中心」の方向を土台として、その実現方案を模索して改訂作業を進めた事が明らかになった。 そしてこの韓国幼児教育の基本哲学は、2019年12月に公刊された『2019ヌリ課程解説書』、『2019改訂ヌリ課程遊び理解資料』、『2019改訂ヌリ課程遊び実行資料』(いずれも教育部、保健福祉部)によって、「子ども中心、遊び中心」哲学の現場適用支援が具体化されていることを知ることができた。 以上の研究成果は、論文やポスター等で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナのため、韓国訪問ができなかったため、現地調査は実施できなかったが、韓国の研究協力者による資料提供により、資料収集が可能であったため、基礎的な資料整理をして研究発表をした。
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Strategy for Future Research Activity |
韓国では2006年以来、幼稚園・オリニジップに対する第三者評価政策を実施してきているが、特にオリニジップに対する評価認証政策は世界的にも注目を集めた貴重な先駆的試みだった。そして2019年、幼保共通教育課程(ヌリ課程)の改訂に対応して評価認証政策は「オリニジップ評価制」へと名称と内容が変更されて、いわば第二世代の第三者評価政策がスタートしている。私たちは上記のような状況下にある今、韓国の第三者評価制度研究の好機と捉えている。
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Causes of Carryover |
コロナで韓国への訪問調査ができなかったため、可能になった時点で調査を実施する。
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Research Products
(5 results)