2022 Fiscal Year Research-status Report
保育者の継続的就業要因とそれらを育む環境・プロセスに関する研究
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20K02648
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Research Institution | Seiwa Junior College |
Principal Investigator |
小山 顕 聖和短期大学, その他部局等, 講師 (80434918)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 望 長野県立大学, 健康発達学部, 准教授 (40621264)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 保育者 / 継続的就業を支える要因 / 働きやすい職場環境 / リーダーシップ / 組織マネジメント / 保育の質の向上 / 援助専門職への援助 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、これまでの研究計画に基づいて実施してきた保育者(保育実践者)を対象としたインタビュー調査から得た質的データの分析・考察結果から明らかにされた保育者の継続的就業を支える重要な一要因である「働きやすい職場環境」というテーマに焦点を当て、北信越地方、東海地方、関西地方にある認定こども園(幼保連携型、幼稚園型、保育所型)の管理者(園長、副園長)へのインタビュー調査を行った。 この調査に至った経緯と目的は、これまで保育実践者の語りに焦点を当てて継続的就業を支える要因としての「働きやすい職場環境づくり」というテーマについて分析を行ってきたが、園の管理者である園長たちは「働きやすい職場環境づくり」についてどのように捉えているのか、また実際にそのような環境を作り出すためにどのような取り組みを行なっているかを問い、回答を得ることを通して、保育実践者と共にこのテーマを具現化するにあたり、管理職が行っている具体的な取り組みの例を示すこと、それらから考えることのできる効果的な取り組みの方向性を明示すること、そして「働きやすい職場環境づくり」を実現化するために管理職に必要とされるであろう資質や能力について明らかにすることであった。この取り組みを通して、調査研究の目的に対する知見を得ることができ、研究をまた一歩深化することができた。 今年度の研究への取り組みの成果を広く社会に公表するとともに、その成果と知見を保育の現場にフィードバックすることを目的として研究の成果を研究発表論文としてまとめ、2023年5月の日本保育学会第76回大会の研究発表論文集に掲載されることになり、その内容を同学会大会にて発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
継続する新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を避けることはできず、計画していた研究の進捗状況に影響が及ぶ結果となった。具体的には、国内の広い地域で実施を計画していた保育所、幼稚園、認定こども園への現地での見学を兼ねての対面インタビュー調査の実施、欧州諸国を訪れての現地調査とこれまでの研究結果の報告を兼ねた国際学会での研究発表を断念せざるを得なかった。 インタビュー調査は、オンラインでの実施に切り替える工夫をして行ったが、現地を訪れての保育者のはたらきの様子の視察、対面でのインタビュー調査でのやり取りを欠いたことから、収集した研究データの質は当初の計画と比較すると低いものであったと言わざるを得ないかもしれない。 研究の進捗に関して、新型コロナウイルス感染症の拡大による多大な影響を受ける中で、遅れを取り戻し、より質の高いデータの収集と可能な限り計画当初の研究目的を達成するために、研究期間の延長を申請し承認された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策については、以下のポイントで実施していく計画である。 第一に、国内広範囲における保育所、幼稚園、認定こども園に対してのアンケート調査を実施する。第二に、アンケート調査の結果から、現地インタビュー調査対象とする園を選び、インタビュー調査を実施する。第三に、インタビュー調査により得た質的データの多面的分析を行い、保育者の継続的就業を支持する要因を育み・生み出す環境とそのプロセスの解明を試みる。第四に、継続的就業を支えるための園の環境形成、質の高い保育実践を遂行するための極めて重要な基盤である健全な園組織と保育者(援助者)同士の良好な関係性の形成に寄与する「働きやすい職場環境づくり」研修プログラムを提案し、モデル園での試行を行う。第五に、調査結果を(国内外学会での研究発表及び論文発行等にて)公表する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響により、当初の計画で予定をしていた、国内各地における現地インタビュー調査の実施に継続して支障が出ているため、そのための渡航費、宿泊費、謝礼費を支出できなかったことが次年度使用額が生じた主たる理由である。また、海外での視察調査、国際学会への参加を断念せざるを得なかったことも同じく次年度使用額が生じた理由の一つである。 コロナ禍も国内学的に終息の目途が立ってきたことにより、次年度は計画通りに研究費の支出ができるよう試みたい。計画としては、積極的に国内各地の保育所、幼稚園、認定こども園を実際に訪れ、保育者たちへの対面によるインタビュー調査を実施することで必要なデータを収集し、それらの多面的な分析と考察を行い、国内外の学会等において研究の成果について公表をする予定である。
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Research Products
(1 results)