2021 Fiscal Year Research-status Report
持続可能な母乳率調査方法の開発-メールを使った前向き調査の全国展開に向けて-
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20K02653
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
西巻 滋 横浜市立大学, 附属病院, 教授 (20275043)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 母乳栄養 / 母乳哺育 / 母乳育児 / 母乳率 |
Outline of Annual Research Achievements |
厚生労働省の「健やか親子21」では、母子の健康増進のために母乳育児を推進し、生後1か月の母乳率を60%に上げたいとしている。さらにWHOは2歳以降の母乳育児を薦めている。しかし日本では母乳栄養率の把握が10年ごとであり、諸外国に比べ十分ではない。そのデータも生後6か月間のみであり、生後1歳、2歳までのデータはない。そこで全国的なデータ集積を目的とした。 本年は、WHOとUNICEFから「赤ちゃんにやさしい病院(Baby Friendly Hospital:BFH)」として認証されている横浜市立大学附属病院と横浜市立大学附属センター病院の2施設で生後2歳までの母乳育児の状況を調査した。 新生児864例(平均在胎週数38.6週(33週6日-42週0日)、平均出生体重2,983g(1,652g-4,316g)の2歳までの母乳栄養状況を調査した。その結果、生後1歳で約50%が、生後2歳でも約20%が完全母乳栄養であった。当院では母乳育児が長く続いていることが分かった。さらに母乳栄養を阻害する周産期因子を検討した。母乳栄養の割合は、経産より初産で低く、35歳未満より35歳以上で低く、麻酔分娩例で低く、保育園に通う子で低かった。これらの違いを育児支援に役立てたい。 成果発表(2021年) 1)西巻滋,他:「赤ちゃんにやさしい病院・BFH」データブック」 2) Nishimaki S,Yamada M,Okutani T,Hirabayashi M,Tanimura S:Breastfeeding rate comparison by parity and delivery age in Japan.Pediatrics International 27(15) 1545-1549 2021
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
横浜市立大学附属病院と横浜市立大学附属センター病院の2施設で研究に参加する母は855名で新生児は864名であり、アンケート回答総数は5,190件となった(2022年4月)。その結果を経て、アンケートを自動的に運用できるソフトを開発中である。それを本年度中に運用を開始し、全国的に行う本調査に向けてのシステムを作成する。
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Strategy for Future Research Activity |
全国的に行う本調査に向けてのシステムを作成する。パスワードロックをかけた各施設の登録情報一覧、作成画面、メールの自動送信にはWEBCASを運用する。この研究で、個々の医療施設でいつでも行える持続可能な母乳育児調査方法を開発する。メールを使用し、生後1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、8か月、10か月、12か月、14か月、16か月、18か月、20か月、22か月、24か月の時点で回答する前向き調査であり正確でもある。経済的・人的な費用も少なく、導入しやすい。
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Causes of Carryover |
当初予定では2021年にシステム開発を行う予定であったが、準備に時間がかかっている。そのため次年度繰越となった。今後は2021年の準備を経て2022年にアンケートへの参加登録、アンケートの発送、受取、集積、解析までを自動的に行うシステム開発を行う。
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