2022 Fiscal Year Research-status Report
Extraction and sharing of "tacit knowledge" know-how in support for visually impaired children
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20K02661
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
赤井 愛 大阪工業大学, ロボティクス&デザイン工学部, 准教授 (90578832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三科 聡子 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (20804082)
若林 尚樹 札幌市立大学, デザイン学部, 教授 (40254586)
政倉 祐子 愛知淑徳大学, 創造表現学部, 准教授 (60468915)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 視覚障害児 / 保護者支援 / ノウハウ抽出 / SNS / オープンチャット / 療育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度もCOVID-19感染対策の観点から対面での「おしゃべり知ワークショップ」の実施が困難であったことから、SNSを活用した、保護者及び療育者の暗黙知的ノウハウ抽出を実施した。また、ノウハウ抽出だけでなく、視覚障害児の育児に関する日常的なコミュニケーションの場として機能するよう、参加者間の会話がある「N対N型」の対話構造の構築を試みた。 1)2021年度の研究成果より『LINEオープンチャット』(以下オープンチャット)を活用したノウハウ抽出の課題を抽出した。学生を対象とした予備実験では、発話を促すには「話題の提示」と「相槌・深掘り」の両方を組み合わせることが重要であり、より具体的なノウハウ抽出には「相槌・深掘り」が有効であることが明らかになった。一方で参加者間の会話は見られず、ファシリテータに対するリアクションのみの「1対N型」の対話構造に留まったことから、アイスブレイク等による参加者の関係性の構築の必要性が示唆された。 2)2022年6月29日から11月30日までを分析対象期間とし、24名(保護者14名、療育者6名、その他4名)の参加者によるオープンチャットにおいて、育児や療育に関するノウハウ抽出を行った。抽出された総ノウハウ数は116件(保護者73件、療育者28件、その他15件)となり、これらのノウハウを「モノ」「コト」「考え方」の3つに分類し、分析を進めた。 3)対話構造については、実験開始当初はファシリテータの発話に対する応答のみの「1対N型」が中心であったが、16週目を境に参加者の発話量が増加すると共に、「N対N型」に変化し、参加者からの質問に多くの参加者が反応する様子も見られた。当該時期に参加者が増加し、それぞれ居住地や子どもの年齢、状態も様々であったことから、自己紹介とそれに伴う質問などを通して対話が生まれやすい状態になったと推察される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度はSNS(LINEオープンチャット)を活用した『おしゃべり知』を試み、ノウハウ抽出及びコミュニケーションの場の創出を実現することができた。対面でのワークショップは未実施となった。しかしながら今年度もCOVID-19感染防止の観点から、当初予定していた視覚障害児支援施設での対面型ワークショップは未実施となったこと、データベース構築の実現がかなわなかったことから、全体の進捗としては「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は「おしゃべり」を通した視覚障害児の療育や育児に関する暗黙知的ノウハウ抽出と、それらを活用するためのデータベース構築の2点を目指している。これまでの研究では多様なノウハウ抽出は実現できたものの、対面での『おしゃべり知ワークショップ』実施と、データベース構築が今後の課題である。そこで2023年度は下記2点の実施を目指す。 1)対面での『おしゃべり知ワークショップ』を実施する。これまでオンラインで活用してきた「落書きグラフィック」と並行して、参加者も自らの発話内容に関してイラスト等を交えて表現する。「落書きグラフィック」と参加者の描く内容を比較しながら分析を進める。 2)これまで『おしゃべり知ワークショップ(オンライン)』及びSNSで得られたノウハウを基にデータベースを構築し、療育者や保護者に対するヒアリング調査を実施の上、活用方法や改善の方向性を明らかにする。
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Causes of Carryover |
2022年度はCOVID-19感染対策の観点から、当初予定していた対面での実験(おしゃべり知ワークショップ)を延期したこと、学会発表がオンラインになったこと等により、実験に関連する費用や旅費の執行額が大幅に少なくなった。また、それに伴いデータベース作成も次年度に持ち越しとなったことから、作成にかかる謝金の支出も執行されなかった。 2023年度は実験や学会発表等が従来通り対面での実施が可能となると考えられること、これまでの実験を通してノウハウ抽出が進みデータベース作成に着手可能な状態になったことから、計画に即した執行を目指す。 ■使用計画:2023年6月に開催予定の日本デザイン学会が対面実施となったことから、予定通りの旅費支出が見込まれる。また2023年8月中旬までにデータベースのプロトタイプを作成し、その仕様について8月末に京都ライトハウスにて療育者へのヒアリング調査(半構造化面接)を実施予定である。
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Research Products
(3 results)