2021 Fiscal Year Research-status Report
子どもの遊びを評価する -統計モデリングを用いた「遊び」の構造の解明-
Project/Area Number |
20K02665
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
渡邊 由恵 九州産業大学, 人間科学部, 講師 (40739760)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 敬信 九州産業大学, 人間科学部, 教授 (90580613)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 遊びの構造 / 質の高い遊び / 統計モデリング / 数量的評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、幼児教育における指導のプロセスを数量的に評価できる方法を開発していくことである。つまり、保育者の指導プロセスにおいて、子どもの遊びが豊かな学び合いのある遊びとなっているかを数量的に評価していく方法の開発である。 研究初年度の令和2年度に遊び場面の撮影、令和3年度に調査を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大により、撮影依頼が困難な状況であったため、代表者がこれまで撮影していた子どもの自由遊び場面の映像を編集し、ビデオクリップ(5つの自由遊び場面)を作成し、前倒しで予備調査を実施した。 予備調査で得られた「質の高い遊び」というキーワードから得られた自由記述のテキストデータに時系列を表すタグを付加した上でKHCorderを用いて、共起ネットワーク分析及び対応分析をした結果、保育者が子どもの遊びの質を見る時に、子どもの遊びの「対象」と遊びの主体である個々の子どもの「対象への関わり方」とその対象に関わっている「子ども同士の関係性」という視点を持っていることが示唆された。また、5つの自由遊び場面のビデオクリップに対して5件法による絶対評価や順位による相対評価を求めた結果、保育者間で一定程度一貫した視点で遊びを定量的に評価していることの可能性を示した。 さらに、本研究の結果と先行研究との比較検討を行ない、本調査に向けた評価項目と指標を検討している段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大により初年度の観察場面の撮影等に影響が出たが、事前に収集していた映像を使用し、研究2年目に実施予定の調査を前倒しで実施することができた。そのため、令和3年度は予備調査の分析の精査を行い、本調査に向けた準備を整えているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
「質の高い遊び」というキーワードから得られた自由記述のテキストデータから質的アプローチにより抽出された評価項目と指標を用いて、幼児教育現場の保育者(5園以上100名以上の保育者からのデータ収集を目指す)に、初年度に用いた遊びの場面とは別の遊びの場面(令和3年度撮影)を時系列データ収集用にビデオクリップを5本程度作成し、それに対して、子どもの遊びの「対象」と遊びの主体である個々の子どもの「対象への関わり方」とその対象に関わっている「子ども同士の関係性」という視点による観察及び評価をしてもらう。そこから得た時系列データを保育者の内省にある評価空間における「遊びの質」の状態と考え、状態空間モデルによる関数で近似できるのではないだろうかと想定している。これにより「質の高い遊び」モデルを構築する。 コロナ禍における調査となるため、感染対策を万全に行うとともに、臨機応変な対応を心がける。
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Causes of Carryover |
(理由)新型コロナウイルス感染拡大に伴い学会、データ収集等の出張にかかわる経費の支出がなかったため、予算残となった。 (使用計画)研究協力者への謝金、外部調査にかかわる機器、研修会講師への謝金に使用する予定である。
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