2022 Fiscal Year Research-status Report
戦後改革期の保育運動に関する実証的研究:民主保育連盟による活動とその思想
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20K02685
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Research Institution | Chubu Gakuin University |
Principal Investigator |
平野 華織 中部学院大学, 教育学部, 准教授 (60454302)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 民主保育連盟 / 保育運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、戦後改革期において「民主保育連盟」が行った各種の活動を取りあげ、機関誌『民主保育ニュース』や会員個人の著作物などを手がかりとして、その保育運動が内包する歴史的特質の抽出・分析を試みるものである。その学術的な特色は、保育史において研究の遅れが著しい戦後改革期の保育運動へと目を向け、同連盟の活動や主張の意義と限界を問うところにある。 本年度は、民主保育連盟名義や会員個人の編著書も収集し、活動の裾野に当たる部分の実態をつかむ一方、そうした作業を踏まえて、同連盟による保育運動が内包していた歴史的特質(意義と限界)を抽出することに注力した。最終年度の総括的作業として、民主保育連盟・児童文学者協会編『子供に読んで聞かせるお話の本(全4巻)』(羽田書店、1949年-1950年)や羽仁説子・松田道雄編『新しい育児百科』(日本評論社、1950年)など、民主保育連盟や会員個人が刊行した単行本に関する調査・収集も行い、同連盟の諸活動や主張を押さえる作業を行った。得られた知見は以下の通りである。 ①先行研究では、民主保育連盟の活動が「保問研」の再建につながった点を高く評価しており、他の民主的運動団体との軋轢が生じていた点について深く切り込んではいない。また、②当事者の証言や内部資料を中核としてまとめた先行研究では、民主保育連盟の内部資料や関係者の証言を重視し過ぎており、活動の裾野に当たる部分の実態を深く分析・検討してはいない、ということがいえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、前年度までの資料収集の成果を、民主保育連盟の創立から終焉までの経緯や活動の展開を時系列で整理するという形でまとめられた点では、一定の成果を得たといえる。今後、史資料収集の再考、データ整理・分析・論文化を進める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度については研究計画の修正・調整を行う形で、これまでに整理収集した史資料の分析を進め、新たな資料調査・収集、研究成果の公表などを行っていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの様々な影響により、事前に計画していた図書館などへの調査出張が不可能となり、当初の研究計画を大幅に見直したので、執行額が異なる結果になった。
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