2022 Fiscal Year Research-status Report
自閉スペクトラム症児の療育における相互作用のマルチモーダル分析
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20K02689
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
長岡 千賀 追手門学院大学, 経営学部, 准教授 (00609779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 左紀子 京都芸術大学, 文明哲学研究所, 教授 (40158407)
松島 佳苗 関西医科大学, リハビリテーション学部, 准教授 (60711538)
加藤 寿宏 関西医科大学, リハビリテーション学部, 教授 (80214386)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / コミュニケーション / 作業療法 / セラピスト / 共創 / 教材 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉スペクトラム症(ASD)児の療育技法として、子どもの社会的適応の可能性を伸ばすことを目標とし、子どもと養育者の情緒的やりとりのあるコミュニケーションを通して施されるアプローチが注目を集めている。本研究ではこれまで、このアプローチで行われているASD児の感覚統合理論的作業療法を研究対象とし、ASD児の適応的行動を引き出すのに有効なコミュニケーションの特徴を明らかにしてきた。 本年度はこれまでの検討結果をまとめ、発達支援者向けのオンライン教材「発達支援の場の“雰囲気”づくり~セラピストと子どもの関わり~」を開発した。本教材のコンテンツの1つ、「動画でケーススタディ」では、まず学習者自身が動画(アニメーション)を見て考えて問いに答えて、その後に熟達セラピストの視点や解釈を見ることができるようにした。この他、研究成果を読み物として紹介するコンテンツも多数作成した。これらのコンテンツにより、自分自身のコミュニケーションや子どもの捉え方を振り返るためのヒントを得られるようにしている。ユーザビリティテストと発達支援者による評価実験を経て、回答欄と解説の進行方法を修正したり、フォントをユニバーサルフォントにしたりする、等の改良を行なった。 こうして作成した教材について、感覚統合学会の2022年の研究大会で発表し、希望者には教材利用申込のためのURLを案内した。利用者から、他の人に勧めたいという声をもらっている。本教材は、今後数年間、希望者はいつでも利用できるようにする計画である。 この他、作業療法士のスキルアップのために感覚統合学会で実施されている講習会において、講師が受講生に対して行なった指導内容を分析し、熟達セラピストがセラピー実施の中で大切にしている方針やセラピー運営の流れを明らかにした。この結果は、電子情報通信学会シンポジウムや発達心理学会で発表した。現在論文執筆を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
子どもとの関わりについて学べる、発達支援者向けオンライン教材を開発することができた。アニメーションを用いて、効果的に子どもとの関わりについて振り返ることができる「動画でケーススタディ」というコンテンツに、1つの事例を載せている。評価実験を通して改良することもできた。しかし、教材の構成を企画することや、評価実験に基づいて教材の構成を改良することなどに、当初の計画よりも時間がかかってしまった。若干の遅れはあるが、学習しやすい教材の第1弾が完成し、さらに2つ目の事例を載せるための準備を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
オンライン教材において、熟達セラピストの視点や解釈を示すことにより、学習者自身のコミュニケーションについて振り返ってもらうことの意義は非常に高い。そのため、コンテンツ、特に「動画でケーススタディ」を、より充実させる必要性は非常に高く、今後、もう1つの事例を載せる計画である。 コンテンツ作成のためには、熟達セラピストの事例の撮影、セラピストの内観収集、教材向けの編集、アニメーション作成、Webデザインと作成が必要である。このうち、後者2つを除いて、すでに終え、後者2つを現在進めているところである。 さらに、本教材とその効果について学会等での発表を行なう。2023年の感覚統合学会で講演の予定があるほか、LD学会のシンポジウム等で話題提供する計画である。
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Causes of Carryover |
複数の事例を見ることで効果的に学べる教材を開発することを目指しているが、上述のとおり、教材の構成を企画することや評価実験の結果に基づいて教材の構成を改良することなどに、当初の計画よりも時間がかかってしまった。そのため、現在公開している教材には1つの事例しか掲載できていない。そのため次年度使用額が生じた。 これからの課題は、もう1つの事例を掲載し教材を完成させることである。アニメーション作成、Webデザインと作成、加えて学会等での発表のために次年度使用額を当てる。
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Remarks |
コミュニケーションに焦点をあてた、発達支援の実践家向けのオンライン教材「発達支援の場の“雰囲気”づくり~セラピストと子どもの関わり~」を作成しました。本教材は発達支援の実践家や研究者を中心に登録制で運営しておりますので、ご利用を希望される方は次の利用申込フォームからお名前やメールアドレスなどを送信ください。 https://ws.formzu.net/dist/S185123551/
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Research Products
(4 results)