2023 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the whole picture of childcare after the freeing childcare fee and Policy proposals for solving new childcare issues
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20K02690
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
前田 正子 甲南大学, マネジメント創造学部, 教授 (20596192)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 道人 立教大学, 経済学部, 准教授 (10749162)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 保育所 / 待機児童 / 母親 / 保育の壁 / 職場の壁 / 家庭の壁 / チャイルドペナルティ / 子育て支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はこれまで実施した調査をとりまとめ、本として出版した。実施した調査は2つである。第1はコロナ下で休園した保育園の利用者への調査。第2はコロナ下で夜間保育園の調査である。近年では育児休業制度や短縮勤務制度の一層の充実、保育所休園の際に親が就労できなくなった場合の小学校休業等対応助成金など、働きながら子育てをする親を支援する制度は拡充されてきている。しかし、実際に母親たちは、コロナ下において大きな問題に直面したことが分かった。 第1にコロナにおける休園はいつ終わるかが見通せず、職場復帰の確約が出来ず、職場への復帰や就労継続に大きな困難を抱えていた。第2にコロナ下でも出勤して働かなくてはならないエッセンシャルワーカーは、どうやって保育を確保するかという問題に直面していた。 第3に在宅勤務などが可能であった恵まれた層でも、育児をしながらの就労は難しさを抱え、夫婦間の家事と育児の分担問題に直面していた。第4に小学校休業等対応助成金を受給できた人もいれば、制度を知らない人、知っていても、これ以上職場に迷惑はかけられないと助成金申請をしなかった人もいる。第5に認可外夜間保育園の利用者の雇用形態が急速に不安定化しており、請負、フリーランスという働き方が広がっていることが分かった。第6に不安定な雇用の保護者達は、様々な公的支援の存在への知識も乏しく、一層困難な状況にあった。 いずれにしても子どもを育てる負荷はより多く母親にかかり、保育所入所の保育の壁、家庭内での家事育児分担を巡る家庭の壁、そして職場の壁と様々な課題を抱えていることやコロナがそれを一層強めたことが分かった。 また地方の先進的な取り組みを行う保育所への訪問調査と共に、イギリス・ロンドンのチルドレンズセンターを訪れ、保育所が社会的ハンディを背負った子どもの成長発達のみならず、親への支援にも果たす役割の大きさへの理解を深めた。
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Research Products
(2 results)
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[Book] 母の壁2023
Author(s)
前田正子・安藤道人
Total Pages
210
Publisher
岩波書店
ISBN
978-4-00-061599-0