2023 Fiscal Year Annual Research Report
処遇困難な少年院在院者への社会復帰支援プログラムの開発に向けた基礎的研究
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20K02692
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Research Institution | Shikoku Gakuin University |
Principal Investigator |
北川 裕美子 四国学院大学, 社会福祉学部, 准教授 (20747191)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田桐 早苗 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 講師 (10461245)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 少年院 / 社会復帰支援 / 青少年 / 少年刑務所 / 就労支援 / 居住支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である2023年度においては、ノルウェーで若年者の居住支援をしている施設(Ungbo)に訪問した。Ungboでは行政(区)を通して依頼があった子どもたちの住居支援をしており、現在はオスロ市内に230か所で子どもたちが暮らしている。その中には、少年刑務所から出所した子どもも含まれており、そのような子どもが支援を受ける場合には、少年刑務所の中で子どもとのインテークを数回行い、居住アセスメントを行っている。子どもたちへの支援をする上で重視している点として、①安心して住める住居、②経済的安定、③アクティビティ、④ネットワークづくり、⑤メンタルヘルスがあげられた。 また、ノルウェー矯正局のスタッフから聞き取り調査を行った。2024年現在で、少年刑務所はノルウェーに2か所あり、在院者は全体で8人程度であるとのことであった。刑務官は受刑者に対して人道的なかかわりをもつことを重視しており、1990年代以降、修復的司法の概念を取り入れたニルス・クリスティが1970年頃より提唱している「インポート&エクスポートモデル」を積極的に適用している。「インポート&エクスポートモデル」とは、刑務所の外の地域社会のサービスを担っている公的機関が、刑務所でのサービスを担う仕組みのことを指し、矯正施設がオープンに政府・市町村・赤十字等と連携して再犯防止に向けた取り組みを行っている。 日本においては、社会内処遇と施設内処遇とで管轄が異なり二分されているが、これまでのインタビュー調査結果からも、それぞれが共通認識を測れるような機会を作ることの重要性が示唆された。さらに福祉的支援が必要な子どもの場合には、各施設・機関それぞれの役割、職業アイデンティティ、職業倫理について異なる理解をもつ専門職が集まり、交流をするような組織づくりを構築することが重要であると考える。
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