2020 Fiscal Year Research-status Report
同僚性に困難を抱えやすい乳児保育担当者のキャリア形成とバーンアウト
| Project/Area Number |
20K02695
|
|---|
| Research Institution | Kobe Women's Junior College |
|---|
Principal Investigator |
永井 久美子 神戸女子短期大学, その他部局等, 准教授(移行) (20615108)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香曽我部 琢 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (00398497)
渡辺 俊太郎 大阪総合保育大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (80434877)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
| Keywords | 乳児保育 / キャリア形成 / バーンアウト / 乳児保育担当者 / 同僚性 / 保育士間の連携・協働 / 保育観 / 複数担任 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
「乳児保育のテキストにみる保育士間の「連携・協働」に関する分析的研究」
本研究は、2018年度以降の学生が使用する乳児保育のテキスト類に、どのように保育士間の連携・協働について説明されているかを分析したものである。３歳未満児クラスは複数担任が一般的であるため、報告・連絡・相談を含め、クラス内の保育士間の連携は欠かせない。しかしながら、学生時代に学ぶ乳児保育のテキスト類には、丁寧な記述がなされているものと、そうでないものの差がテキストによって大きいことを明らかにしている。また、報告・連絡・相談といった必要最小限の連携だけではなく、保育士間のコミュニケーションの豊かさの視点から連携・協働について記述されているものもあることが明らかになった。
「園長は乳児保育担当者をどのようにして決めるか？－乳児保育担当者に求められる専門性を探る－」
本研究において、乳児保育経験のある園長は、乳児保育担当者の選定において「関係性の中での理解」と「互恵的な成長」を重要視していることが明らかになり、園長が乳児保育担当者の適性・専門性をどのように捉えているのかについて、暗黙知を可視化することができた。また、「A：園長・主任による選定基盤パラダイム」において示されている基盤をもとに、「B：保育者の専門的資質の再構成」で示されている基準を用いて、乳児保育担当者を選定しているプロセスが明らかになった。このプロセスや各概念は、保育の現場で乳児保育担当者を選定する際の手がかりとしての活用や、選定プロセスの客観的な振り返り・評価の材料として用いることができる可能性も包含していると推測される。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
キャリア形成について明らかにするためには乳児保育担当者の専門性や求められる資質を明確にしておく必要があるものの、十分に明確化されていないことが判明した。よって乳児保育担当者の専門性や求められる資質を明確にするための調査を行い、成果を論文投稿・学会発表という形で公表した。
|
| Strategy for Future Research Activity |
令和３年度は、乳児保育を担当する経験の長い保育者の実践場面を360度カメラによってサンプリングを行い、その映像の分析から、乳児保育を担当する保育者の身体知・暗黙知を明らかにする。令和２年度に行った先行研究のレビューにより、現在において乳児保育を担当する保育者の専門性自体が明確に示されていないことがわかった。令和３年度は、実際の乳児保育の実践での保育者の行為から「乳児保育を担当する保育者のキャリア形成」や「乳児保育を担当する保育者に求められる専門的資質」の実相を明らかにする必要がある。
令和４年度は、令和２・３年度の知見をもとに、混合研究法で用いられるデュアル・ディスプレイを援用して、乳児保育の保育者の専門性のキャリア形成のプロセス・モデルの仮説を立てる。そして、このモデルを刺激素材として、熟達した保育者からインタビューを実施し、そのデータをテキストマイニングで分析し、モデルの精緻化を行う。
|
| Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として、研究計画に一部変更が生じたこと、コロナ禍によって学会等がオンライン開催となったこと等が挙げられる。2021度は調査・分析関係で交通費や人件費等に使用する計画である。
|
Research Products
(2 results)
