2021 Fiscal Year Research-status Report
Imaging epigenome-wide association study to identify biomarkers for child maltreatment
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20K02700
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
西谷 正太 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 特命助教 (50448495)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 虐待 / トラウマ / エピジェネティクス / MRI / ゲノムワイド解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、マルトリートメント児(Mal児)の脳画像エピゲノムワイド解析によるバイオマーカーの同定を試みることを目的とし、最終的には、Mal児(48名)と一般対照児(48名)を対象に、1)唾液メチル化のエピゲノムワイド解析によるMal児に関連した候補遺伝子のメチル化を同定すること、2)脳MRIによるMal児に関連した脳脆弱性を解明すること、3)脳画像エピゲノム解析によるMal児脆弱脳相関バイオマーカーの同定、を行う計画であった。二年目である本年度は、初年度までの既存試料・情報に加え、新たな追加データ・試料を収集することによって、Mal児64名、対照児64名のデータセット(脳MRI、唾液メチル化マイクロアレイ)を構築することができた。そこで、このデータセットを用いて、最終年度で両指標単独、或いは各指標から絞られた脳部位・メチル化との関連解析を行い、報告する予定である。 一方、ゲノムワイド解析だけでなく、初年度よりOXT遺伝子に注目し、Mal児と対照児のメチル化の比較を行った結果、Mal児では、OXT遺伝子プロモーター領域の複数箇所で高いメチル化が見られることを見出した。そこで、この領域のメチル化と脳MRIとの相関分析を、T1、DTI、rs-fMRI、fMRI(金銭報酬課題)に対して行った。その結果、T1では後頭頂部に有意な負の相関が見られ、fMRIでは左背側線条体(被殻)の活動に負の相関が見られた。また、いつの時期に受けたマルトリートメントがこのOXT遺伝子メチル化を導くのに貢献していたかについて時期を特定する感受性解析を行った。その結果、5-7歳に受けたもの、特に身体的虐待がこのメチル化の増加に関与していることを明らかにし、論文発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
二年目は、1)追加データ・試料の収集、2)脳画像エピゲノムのパイロット解析を計画通り順調に進めることができた。特に、1)に関しては、最終的に当初の想定以上の数を収集できた。この点は、十分なサンプルサイズを確保した解析を行うことに繋がることから、この分野の研究としては、これまでにないサンプルサイズでの解析を行うことができ、質の高い研究成果が期待できる。また、ゲノムワイド解析の結果ではないが、既存情報・試料を用いた標的解析の脳画像エピゲノム解析を行った結果を論文発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
通常、収集困難なサンプルサイズの確保を十分に行うことができたため、最終年度では、このデータセットを用いた解析を中心に進め、当初の目的を果たす。解析は、脳MRI、ゲノムワイド解析を行う際の品質確認、解析法の最近のアップデートを取り入れながら行い、質の高い成果の発表を目指す。
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Causes of Carryover |
メチル化マイクロアレイの委託分析に計上していた費用が、他の研究費からも支出することができ、その分を最終年度の脳画像エピゲノム解析に要する費用に充てるため。
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