2023 Fiscal Year Annual Research Report
生活困窮世帯の子どもの料理スキルと自己肯定感を高める食支援に関する実証的研究
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20K02704
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
坂本 達昭 熊本県立大学, 環境共生学部, 准教授 (80710425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細田 耕平 仁愛大学, 人間生活学部, 講師 (60734803)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 調理 / 自信 / セルフエスティーム / 食事支援 / 小学生 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究は,8歳から13歳を対象とした調理プログラムや4年生を対象とした調理体験(レシピの選択,買い物,調理を含む)プログラムなど高学年児童での実施が数多く報告されており,低学年児童への介入は少ない。学童期は低学年から高学年まで,発達段階が多様であり,低学年児童を対象とする場合は,発達段階に応じたプログラムを実施する必要がある。 そこで,最終年度は,小学校低学年児童向けの新たな非対面式調理プログラムを実施し,プログラムの実施可能性とその効果を明らかにすることを目的とした。対象は小学2~3年生とした。前後比較デザインにて全5回(週1回)のプログラムを実施した。参加者には,食材および調理手順を解説した動画を提供し,各回の調理終了後,参加者個人にフィードバックを行った。プロセス評価は,各回終了時に参加者に難易度,次回への参加意欲等をたずねた。42名(熊本県30名、福井県12名)を解析対象者とした。 プログラムの効果は,プログラム参加前後の調理に対するセルフエフィカシーの変化から評価した。調理に対するセルフエフィカシーの評価は,先行研究により信頼性と妥当性が確認された尺度(得点範囲8~40点:得点が低いほどセルフエフィカシーが高いことを意味する)を用いた。プロセス評価の結果は,概ね良好であった。調理に対するセルフエフィカシーの中央値は,プログラム参加前からプログラム参加後にかけて有意に向上した(P <0.001)。 当プログラムは,低学年児童で実施可能であり,調理に対するセルフエフィカシーを高める食支援の一つとして有用であると示唆された。しかし、調味料の計量など一部は,2~3年生には難しい可能性があり児童への提示方法に考慮が必要と考えられた。
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