2020 Fiscal Year Research-status Report
Cultivating Capacities for Critical and Logical Thinking within Reading Instructions in Japanese Language Education
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20K02725
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
佐藤 佐敏 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (10510167)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 論理的思考力 / 批判的思考力 / 混成型テキスト / 国語科教育 / メディア・リテラシー教育 / 読解力 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度として、第一に「〈非連続型テキスト〉と〈混成型テキスト〉の読解で発揮される〈批判的思考力〉の考察」を行った。理論的考察に際しては、これまでの国語科教育学の「説明的文章」で〈批判的思考力〉を扱った文献と、情報教育に関する文献、並びに小学校と中学校で使用されている国語科の教科用図書を調査した。それら先行研究の知見と調査結果に基づき、それぞれのテキストを読み解く〈読解方略〉を抽出して一覧に整理した。 その成果の一部として、論文「〈非連続型テキスト〉を批判的に読む読解力―出典とタイトルに着目する授業プログラムの開発―」を『福島大学人間発達文化学類附属学校臨床支援センター紀要』第2巻にて発表した。また、日本教育実践学会第23回研究大会(オンライン開催)で「情報の信憑性を評価する授業の開発―報道記事を比較することで情報発信の意図を探る―」と「〈混成型テキスト〉の読解方略(Ⅰ)―調査対象と調査方法に着目する授業プログラムの開発―」を口頭発表した。これまでの調査結果から、当研究は国語科教育学からアプローチするだけでなく、情報教育や算数・数学教育からのアプローチを確認し、多面的かつ学際的に理論化する必要があることが明らかとなった。 第二に〈論理的思考力〉を小学校低学年の児童に培うための理論的考察を行い、中学校でその成果を確認している〈ロジックツリー〉という思考ツールを〈論理カード〉として教材化した。今後、小学校低学年の学級でこの〈論理カード〉を活用した実践を行い、その有効性を実証していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね研究実施計画に基づいた研究ができている。 ただし、令和2年度においてはコロナ禍にあり、文献調査が中心となり、学校現場を対象として試行する実践を行うことができなかった。理論化は、文献調査だけでなく、実践における学習者の状況を適宜確認して行う予定であったが、その実践を行うことがかなわなかった。したがって今後、試行する実践に基づいて、理論の再構築をはかる予定である。 また同様に、〈混成型テキスト〉の読解で発揮される〈批判的思考力〉を究明するための教材化においても、〈論理的思考力〉を培う思考ツールである〈論理カード〉の教材化にしても、学習者の実態に応じて最適化を図る必要がある。令和2年度はこの試行的な実践を進めることができなかったため、令和3年度にそれを持ち越して実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に「〈非連続型テキスト〉と〈混成型テキスト〉の読解で発揮される〈批判的思考力〉の究明」については、令和2年度の文献調査の結果を基に、算数・数学科教育や統計学、情報教育での研究成果も取り入れて理論の再構築をはかる。そして、実践に基づいて再構築した理論と、開発した教材を公表する。 それと同時に、その教材を用いた実践を福島大学附属小学校で行い、その児童の実態を分析することにより教材の有効性と課題を明確にしていく。 小学校低学年で培う〈論理的思考力〉については、令和2年度に開発したビジュアルツールである〈論理カード〉を活用した実践プログラムを福島大学附属小学校で実践し、その結果を学会で発表する。
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Causes of Carryover |
令和2年度はコロナ禍にあり、予定していた実践に関する出張旅費と授業分析の謝金が発生しなかった。また、情報収集のための学会参加や学会発表においても、すべてリモートで行われたため、参加するための出張旅費が発生しなかった。加えて、授業分析のための様々な機器も購入しなかったため物品費も生じなかった。 これらについては、今後のウィルスの収束状況にもよるが、令和3年度以降に行う予定の実践に関する旅費や授業分析のための物品費、並びに謝金等に充てていく計画である。
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