2021 Fiscal Year Research-status Report
Cultivating Capacities for Critical and Logical Thinking within Reading Instructions in Japanese Language Education
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20K02725
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
佐藤 佐敏 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (10510167)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 論理的思考力 / 批判的思考力 / 混成型テキスト / 国語科教育 / メディア・リテラシー教育 / 読解力 / 方略 / 転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究2年度として、第一に、〈論理的思考力〉の育成に関しては研究初年度に教材化した〈論理カード〉のパイロット版を制作した。それとともに、〈論理カード〉の活用がなぜ〈論理的思考力〉を高めるのかの理論的考察を行った。それを踏まえて、福島県内の県北地区、県央地区、相双地区、会津地区の4校の4年生を対象としてカードを活用した検証実践を行った。そして、〈論理カード〉の活用が、説明的文章を要約する力を向上させることを確認し、その結果を日本教育実践学会第24回研究大会(オンライン開催)にて「論理カードによる要約力の育成」という題目で口頭発表した。 第二に〈批判的思考力〉の育成に関しては、研究初年度に策定した「〈混成型テキスト〉を読み解く〈読解方略〉一覧」のブラッシュアップを図った。また、〈混成型テキスト〉の読解について、算数・数学科や「総合的な学習の時間」などの他教科がどのようにかかわっているのかを調査し、国語科で行う意義を定位した。それらを基に、「データのサンプル(調査対象)に着目する」という〈読解方略〉の獲得を意図した実践プルグラムを開発し、小学校5年生にて検証授業を行った。その結果を日本教育実践学会第24回研究大会(オンライン開催)にて「〈混成型テキスト〉の読解方略(Ⅱ)-短時間学習プログラムの開発-」という題目で口頭発表している。 第三に、〈論理的思考力〉の一環として、文学的文章を読む方略の転移を図ることを意図した単著『国語科の読みを深めるアクティブ・リーディング 〈読みの方略〉の獲得と〈物語の法則〉の発見Ⅱ』(明治図書)を刊行した。これは、〈読みの方略〉の獲得と〈物語の法則〉の発見を意図した前著『国語科授業を変えるアクティブ・リーディング』の続編であり、〈読みの方略〉を転移させる方途について、より詳細に理論化するとともに、小中学校の教科書教材の実践例を掲載している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね研究実施計画に基づいた研究を推進している。 〈論理的思考力〉を高める〈論理カード〉のパイロット版が完成し、それに基づく実践を試行することができた。また、〈批判的思考力〉を発揮して〈混成型テキスト〉を読み解く〈読解方略〉一覧のブラッシュアップを図ることができた。 また、研究の初期段階では発展的課題として考えていた文学作品の読解における方略の転移に関する〈思考力〉に関して、単著を執筆することができた。順調に進展していると判断できる。 しかしながら、令和3年度においてもコロナ禍にあり、いずれの研究についても学校現場を対象として行う実践の調査数が足らなかった。調査数が少なかったために研究の実証性を保障することが叶わず、論文化ができなかった。コロナ感染予防対策をとる学校の状況に応じて、随時調査数を増やして研究の妥当性を高めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、〈論理的思考力〉の育成に関しては、パイロット版として作成した〈論理カード〉を使った実践を数多く行うことで、その活用方法の最適解を探り、その結果を学会で発表する。それらを踏まえて〈論理カード〉を市販する計画である。 第二に、〈批判的思考力〉の育成に関しては、これまで積み重ねてきた実践結果を基に〈混成型テキスト〉を読み解く教材集(エクササイズ集)を作成し、考察してきた理論とともに書籍化を図り、研究成果を世に問う予定である。
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Causes of Carryover |
令和2、3年度とコロナ禍にあり、予定していた検証実践に関する出張旅費と授業分析の謝金が発生しなかった。また、情報収集のための学会参加や、研究成果を発表するための学会発表においても、すべてオンラインで開催されたため、参加するための出張旅費が発生しなかった。加えて、授業分析をするための様々な機器も購入できず物品費もかからなかった。 これらについては、今後のコロナ・ウィルスの収束状況にもよるが、令和4年度以降に行う予定の検証実践に関する旅費や授業分析のための物品、並びに謝金等にあてていく計画である。
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Research Products
(3 results)