2022 Fiscal Year Annual Research Report
日本の環境思想に基づく生活知と生物学の科学知を統合する生物多様性保全教育の開発
Project/Area Number |
20K02726
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山本 容子 筑波大学, 人間系, 准教授 (40738580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩井 宏暁 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (30375430)
伊藤 哲章 宮城学院女子大学, 教育学部, 准教授 (50735256)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 環境教育 / 環境倫理 / ディープ・エコロジー / ネイチャーライティング / 生活知 / 生物多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、我が国独自の自然風土で伝統的に育まれてきた環境思想を基盤とする「生活知」と、生物教育の生態学分野の「科学知」とを統合することにより、持続可能な社会の構築を目指した、日本型の生物多様性保全教育の理論的・実践的検討を行い、生徒の環境倫理意識の向上を図ることを目的としていた。 2022年度には、日本型の生物多様性保全教育開発の視点を導出するための、日本の幼・小・中・高校生の環境意識調査の問題作成の枠組みを検討した。その結果、以下の点が明らかになった。国内外における環境倫理の視点を重視した環境態度の先行研究の調査結果をもとに、特に中高生の環境中心主義的な環境態度に影響を与える要因について検討した結果、近年の国内外の小中高校生の環境態度は共通してやや環境中心主義的である傾向があること、自然との一体化、自然の中での遊びなど、自然と密接に関わる経験が環境中心主義志向を高める成果がみられたこと、学校における環境学習、環境クラブ、学校外での環境プロジェクト等への参加により、環境中心主義志向が高まる可能性があることが明らかになった。また、日本の理科教育の環境教育における、児童・生徒の「自然を愛する心情」育成の評価方法について、バイオフィリアの視点を重視した評価尺度を手がかりに、そのあり方を検討した結果、ケラート類型尺度で評価することにより、日本の小学校理科で目指す「自然を愛する心情」と関わる多様な価値観を測定・評価できる、また、複数の尺度と組み合わせて調査することにより、科学的知識の獲得と自然に対する意識・態度との関係性を探ることができる可能性があることが明らかになった。3年間の研究を通して、コロナ禍にて、日本型の生物多様性保全教育の実践的検討までは至らなかったが、プログラム開発に資する理論的検討を深めることができた。
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