2021 Fiscal Year Research-status Report
資質・能力の連続的発展と道徳的実践性を担保する生活科・社会科の学習指導モデル開発
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20K02727
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
溜池 善裕 宇都宮大学, 共同教育学部, 教授 (60260452)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 教授・学習の一元モデル / 木下竹次 / 道徳性 / 学習 / 教科 / 社会科 |
Outline of Annual Research Achievements |
【方法およびその意義】これまで収集したデータを整理し,「児童・生徒が学習しつつ相互に道徳性を高めていく教育方法」の可能性についての検討を行なった。この検討においては,先駆者である木下竹次『学習原論』(1923)および『学習各論』(1926)を参照した。この中で,木下の二著が,1920年の世界恐慌に巻き込まれ,関東大震災という未曾有の災害に遭う中で,より有能で道徳性の高い,国際共同の出来る国民が国家を構成することを目的としており,奈良女子高等師範学校附属小における「学習法」のために書かれたものではないことを明らかにした。このような背景は,コロナ禍における,今日のロシア,ウクライナ,中国,ヨーロッパ諸国,アメリカ,そして日本の,経済・社会の関係と近似しており,その意味でも木下の二著を参照する意義があると考えられる。 【構築した学習モデルの実施】学習モデル(教授・学習の一元化モデル)を検討した。また,このモデルをもとに,公立小中学校において授業を計画・実施して詳細なデータを得,それを分析・考察した。 【結果】「教授・学習の一元モデル」とは,次の要件を満たすものであることが明らかになった。①知識・技能・資質・能力等を身につけつつある児童・生徒(学習A)が,相互に関係し合うことによって(学習B),1人の教員が教える(教授)以上の効果を上げることが出来る。②①に支えられ,知的な方法論(事実の収集・比較・統合等を含む「知性」)により事実や状況を分析・考察しながら,直感だけでなく知性に支えられ,適切かつ精確な道徳的判断を行うことが出来る。③当該の道徳的判断が学級集団をより良いものに変化させ,高い道徳性が支配する学級集団において,より高いレベルの学習Aおよび学習Bが現れ,さらに高いレベルの事柄に関する「教授・学習の一元モデル」を成立させる。④上記①②③が一年間を通して維持・継続される教科指導を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究をもとに構築した「教授・学習の一元モデル」を,公立小学校,公立中学校で実施し,詳細なデータをとって分析・考察した。なお,この結果は,論文として公開予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
「教授・学習の一元モデル」の有効性について,極少人数学級や複式学級,指導困難児童の学級等において検証することを通して,その汎用性を検証する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で,調査(学校等へのデータ収集)のための旅費が支出できにくい状況にあった。
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Research Products
(1 results)