2021 Fiscal Year Research-status Report
教員養成の高大接続に資する「対面授業+eラーニング融合カリキュラム」の構築
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20K02738
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
竜田 徹 佐賀大学, 教育学部, 准教授 (20708995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 裕子 佐賀大学, 教育学部, 准教授 (10649156)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 教員養成 / 高大接続 / 高大連携 / eラーニング / カリキュラム / 教員養成課程 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目は,高大接続カリキュラムの長期的効果の検証に着手する計画としていた。この計画に関し,次の4点に取り組むことができた。1点目は,現行カリキュラムを修了した教員内定者へのインタビュー調査の実施である。2021年度卒業の5名の教員内定者に対し,「教師へのとびら」の受講で印象に残っていることは何か,「教師へのとびら」の学びが現在の自分にどのように活かされていると思うか,などに関する聞き取りを行うことができた。なお,2020年度においても,3名の教員内定者へのインタビュー調査を実施することができた。合計8名のインタビューから得られたデータは,高大接続カリキュラムの長期的効果を示すものとしてだけでなく,対面を前提としたカリキュラムの効果を明らかにするものとして非常に貴重である。2点目は,eラーニング教材による学修を受講し修了した高校3年生へのアンケート調査の実施である。Webフォームを用いた入力により,eラーニングを含むカリキュラムの受講で得られた学びや今後のカリキュラム改善に向けたフィードバックを得ることができた。これらのデータは,eラーニング教材を含むカリキュラムの効果と課題を明らかにする資料として重要である。3点目は,長期的効果の検証を効果的に進めるための理論的検討の実施である。本検討の視点として,学校現場に就職した修了者を対象とした追跡調査,カリキュラムの再構築に伴う効果検証,オンライン受講を経験した高校生の学習状況の三つを設け,「教師へのとびら」の成果検証に資する調査研究のあり方を論文にして発表することができた。4点目は,本研究成果に関する公開講座の開催である。「教員養成のためのカリキュラム・マネジメント」と題し、6~8月に5回連続講座として開催し,研究成果を地域の人々に還元するとともに、高大接続教育に寄せるニーズなどについて意見交換を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本カリキュラムの長期的効果の検証は当初計画においては2年目から3年目6月までの期間で実施することとしており,そのデータ収集は一定程度実施できた。しかし,分析・検証と論文発表は未実施となっており,大学進学内定後の修了生と,現職教員1年目を終えた修了生に対する聞き取りについては十分に実施できていない。そのため,「やや遅れている」と評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目は,引き続き「高大接続カリキュラムの長期的効果の検証」に取り組むとともに,「教職分野における高大接続カリキュラムモデルの精査・提案」に取り組むこととしている。eラーニング教材の効果や修了者への追跡調査に基づき,現行カリキュラムの総合的な精査・改善を行う計画である。なお,本研究の当初計画では非対面型授業の方法として主に「eラーニングの活用」を想定していたが,コロナ禍を通し,非対面型プログラムの選択肢が当初計画時から飛躍的に拡大した。このことから,カリキュラム再構築の観点の一つとして「eラーニング」「オンライン」「対面」「非対面」の位置づけを明確にする必要がある。また,1年目の計画で未実施の「長崎・福岡・熊本県など県外の高校生にもeラーニングを提供する」ことについても,学校現場の状況を勘案したうえで実施の可能性を検討したい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,コロナ禍に伴う研究方法や成果発表方法の変更により,人件費・謝金の支出を伴う研究内容の実施を一部次年度以降に先送りしたため。また, 学会参加に伴う旅費等の支出がなかったため。使用計画は,FE融合カリキュラムの効果検証における人件費の支出や、分析に必要なデータ処理に伴う人件費や物品費の支出を計画している。
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