2023 Fiscal Year Annual Research Report
能の学習が呼び起こす身体感覚が児童の感性に与える影響―歌声と脳賦活に着目して―
Project/Area Number |
20K02746
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Research Institution | Kamakura Women's University |
Principal Investigator |
田村 にしき 鎌倉女子大学, 児童学部, 准教授 (50613494)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 音楽科教育 / 日本の伝統音楽 / 能 / 謡 / fNIRS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、小学校第4学年児童に1年間、能の学習プログラムと、授業外における能の謡(うたい)の稽古を継続的に実施し、音声学的評価と脳神経学的所見による分析を行った。 音声学的評価については、能の学習プログラムの授業第1回、第2回、第3回の児童の歌声の変化について、教材の《高砂》待謡の中のうたい方が特徴的な歌唱部分の音声を取り出し、①リニアスペクトラム(Linear Spectrum)、②Mel Spectrum(メルスペクトラム)、③MFCC(メル周波数ケプストラム係数)を用いた分析を試み、学習を積み重ねるごとに響きのある豊かな歌声になっていることが確認できた。さらに、学習を積み重ねることで、能のうたい方の特徴が出てきているかを検証するため、講師の歌声の音声データも上記の方法で分析し、児童の歌声のデータと比較した。 脳神経学的所見では、授業第1回、第2回、第3回の授業後に、fNIRSを用いて《高砂》待謡の聴取時及び歌唱時における前頭葉の脳血流量を測定し、酸素化ヘモグロビン濃度長の変化を検証した。謡の聴取の実験においては、学習を積み重ねるごとに、酸素化ヘモグロビンの濃度がマイナスになる傾向があり、沈静化・没頭している状態になる傾向がみられた。また、児童が歌唱をしている際の脳活動については、酸素化ヘモグロビンの濃度がプラスになる傾向があり、特に、前頭葉の前頭極の部分が賦活する傾向がみられた。
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