2021 Fiscal Year Research-status Report
何もない離島の雨水生活体験という強烈な環境教育プログラムで挑む環境教育の限界
Project/Area Number |
20K02747
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Research Institution | Fukui University of Technology |
Principal Investigator |
笠井 利浩 福井工業大学, 環境情報学部, 教授 (60279396)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 晶 福井工業大学, 環境情報学部, 准教授 (70550606)
三寺 潤 福井工業大学, 環境情報学部, 教授 (80585711)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 雨水活用 / 環境教育 / 体験 / 教育効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
COVID-19による環境教育実践地の離島(赤島)訪問が非常に難しくなっていることから、2年前に島に移住された若手M氏(30代)の協力関係を構築した。これまで赤島では高齢者しか居住していないために、電話は通じるもののネット環境は皆無に等しかったがM氏の移住によってネット環境が整備された。今年度は、研究代表者の研究成果を活かしM氏の雨水を水源とする生活用水環境の整備を行うと共に、事業化も見据えた赤島での環境教育の方策を検討した。具体的には、赤島にある小学校跡地を五島市から借り受け、キャンプスタイルでの雨水生活体験を行う準備を進めている。 一方、予定通り赤島での環境教育が実施できていない対策として、先に述べたネット環境を利用したリアルタイムオンライン体験と福井で実施可能な体験プログラムを検討した。具体的には、前者については赤島島民M氏による現地からのオンライン雨水生活実況中継である。後者については、福井市内の公民館に設置されている大型雨水タンクの貯留水を用いた調理・試食体験や更に雨水摂取のハードルを下げる「あまみずドリンク」の製造である。特に「あまみずドリンク」については、2021年度秋に福井工業大学校内で取水した雨水約500Lを用いて約1600本のドリンクを製造し、試飲した方々の雨に対する意識変容の調査を行った。集水したドリンク製造用原水である雨水の水質も公的機関で検査を行っており、食品衛生法で求められる45項目について全てクリアし、製品レベルの安全性が担保できていることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、国内唯一の完全雨水生活を営む島でのインパクトある実体験によってどこまで環境に対する受講者の意識が変わるかを測ることで環境教育の限界を見極めるものである。しかしながら、対象となる離島(赤島)には現在7名(殆どが70代以上)の島民しかおらず、COVID-19による移動制限中にも病気等で数名の島民が亡くなっている。離島であるため医療体制も非常に脆弱で、街と比べると無いに等しくCOVID-19のまん延の影響によって訪問が難しくなっている。 一方、2年前に一人だけではあるが30代の移住者M氏が島で暮らし始めており、その協力が得られる体制を整えることができた。COVID-19によって社会ではオンライン環境が整備されてきた。赤島においてもM氏の移住によってネット環境が整備されており、ZOOMでのビデオ会議も可能になった。今後はこのネット環境を活用すると共に今年度開発した雨水を原水としたドリンクや、福井市内の雨水タンクの水を用いた生活体験を併用した環境教育プログラムを検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はCOVID-19の状況と赤島の状況を照らし合わせ、赤島での環境教育プログラムの実践の機会を探ると共に上述のオンライン、福井市内での実体験併用型プログラムを実施する。
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Causes of Carryover |
COVID-19による移動制限によって、当初計画していた出張旅費が減少したことが主な要因になっている。次年度はCOVID-19の状況と離島の状況を勘案しながら積極的に現地訪問する。
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