2022 Fiscal Year Annual Research Report
描画材の段階的併用による表現力向上のための基礎研究
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20K02754
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
溝口 昭彦 岩手大学, 教育学部, 教授 (40779948)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 絵画技法 / 美術教育 / 混合技法 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、最終年度における研究のまとめと報告・普及を目的として、以下の4点について研究を進めた。(1)本研究で創出した授業試案を受講した高校生131名を対象としたアンケートの共通質問事項を整理することにより、描画材の段階的併用技法の授業における有効性を検証した。(2)研究過程および実施結果をまとめて2022年9月に第61回大学美術教育学会において「高等学校における絵画表現に関する実践研究報告-描画材の段階的併用技法導入について-」として口頭発表した。(3)研究成果の検証として、授業試案実施における研究協力教員をパネリストに迎えて2022年12月に「岩手大学アートスクール2022絵画-高校生と絵画表現-公開研究会」を開催した。(4)公開研究会の協議結果及び資料を『高等学校における描画材の段階的併用技法の導入に関する公開研究会報告書』としてまとめて、岩手県内の高等学校美術教員に配布することにより研究結果の情報共有に努めた。 研究結果としては、アンケート調査結果の検証から、観察力の向上を感じた受講者は77%であり、表現力向上を感じた受講生は72%であった。これらの結果からも、描画材の段階的併用技法は、制作者の観察と表現の調整力を高めるとともに、転写や半透過絵具による重層表現(グレーズ)等によりメタ認知の効果を生みだし、制作者の成就感が生成されたことから青年期の表現危機を乗り越える一助となることが確認できた。 また、公開研究会における授業試案に関する検証では、色鉛筆、アクリル絵具、油絵具の3種の描画材を段階的に使用する授業試案1は、高等学校の美術コース等で有効であり、美術Ⅰ・Ⅱにおいては、油絵具をアクリル絵具のメディウム調整によってグレーズを代替する授業試案2が有効であることが確認された。
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Research Products
(2 results)