2021 Fiscal Year Research-status Report
社会系教科における多文化的シティズンシップの育成に関する研究
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20K02758
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
桐谷 正信 埼玉大学, 教育学部, 教授 (90302504)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪田 益美 東北学院大学, 教養学部, 准教授 (20616495)
佐藤 公 明治学院大学, 心理学部, 准教授 (90323229)
宮崎 沙織 群馬大学, 教育学部, 准教授 (90591470)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 多文化教育 / シティズンシップ / 社会系教科 / 多様性 / 公共性 / 統一性 / 人口減少 / 移民 |
Outline of Annual Research Achievements |
アメリカの多文化教育の,主に歴史教育に焦点を当て,合衆国史カリキュラムの構造について改めて検討した。1994年と1996年に開発されたナショナル・スタンダードや1987年に開発され1996年に改訂されたニューヨーク州スタンダードの分析を通して,合衆国史学習の目的や意義,取り上げる歴史的事象が,「多様性」の尊重と「統一性」の保持の間で,合衆国史学習を通して育成するナショナル・アイデンティティとシティズンシップのあり方が多文化教育を軸に問い直され続けたことを明らかにした。 カナダのシティズンシップ教育の,主に歴史教育に焦点を当てて,そのカリキュラム構造の意義について改めて検討した。歴史認識の相違は多文化共生にとって極めて大きな障壁となる。現在は一つの国家として統合されているカナダにおいても,過去における人種・民族の間の事実認識や歴史解釈の溝はいまだ解消されたとは言えず,彼らの認識の相違は国家の統合において致命的となりうる。それらをどのような学習内容を通して尊重し,主体的に「仲間」として互いを認識させ,かつ尊重できるように教育していくのか,ということについてのカリキュラム構造を明らかにした。 日本の地理教育においては,今年度は,前年度明らかになったことを元に,対象地域を選定し,地域における多文化や混成状況を空間的に可視化させ,その背景にある構造や信念に気づき,子どもの認識につなげていくことを目的として,単元事例の開発を行った。開発単元については,思考ツールを活用し,より関係性や構造を認識できるような工夫を行った。今後は、国内外の実践事例と比較検討を行い、研究成果として発表する予定である,
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
世界的な新型コロナウィルス(Covid-19)の感染拡大が収束されなかった2021年度中は,研究対象国・地域での現地調査ができず,カリキュラム開発担当者や教科書・教材開発者への聞き取り調査,現地でしか入手が困難な教科書・教材などの入手,それらを使用した実践の観察・調査ができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
一部の国・地域では,ワクチン接種が進み,現地調査が可能になってきているため,可能な限り現地調査を行い,カリキュラム開発担当者や教科書・教材開発者への聞き取り調査,現地でしか入手が困難な教科書・教材などの入手,それらを使用した実践の観察・調査を進める。
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Causes of Carryover |
世界的な新型コロナウィルス(Covid-19)の感染拡大が収束せず,対象国・地域での現地調査ができなかったことと,日本国内でも学会の研究大会がオンライン開催になったため,旅費の執行ができなかったためである。 次年度は,一部の国・地域で現地調査が可能になってきているため,本年度に実施できなかった現地調査を進める計画である。
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Research Products
(2 results)