2021 Fiscal Year Research-status Report
「専門職の学習共同体」を創造する校長のリーダーシップに関する構成主義的研究
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20K02763
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
織田 泰幸 三重大学, 教育学部, 准教授 (40441498)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 専門職の学習共同体 / 校長のリーダーシップ / 構成主義 / 分散型リーダーシップ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は「専門職の学習共同体」としての学校を創造する校長のリーダーシップの特質について,構成主義的なリーダーシップ論の観点から理論的・実証的に検討することである。具体的な到達目標は,①「専門職の学習共同体」の基礎となるリーダーシップ論について,構成主義的なリーダーシップ論の観点からその特徴と位置づけを明確にすること,②アメリカの「専門職の学習共同体」としての学校の参与観察および校長への聞き取り調査をもとに,その学校の特徴や校長のリーダーシップの在り様を検討すること,である。①についてはアメリカの教育経営学者ルイス(Karen Seashore Louis)やマーフィ(Joseph Murphy)らの研究において注目された学校における「分散型リーダーシップ」事業の改革事例について整理・検討した。その結果,アメリカにおけるポジティブな学校改革の事例の共通項として,教員の自律性や専門性の尊重,教員たちの当事者意識と信頼関係の醸成,孤立主義の文化ではなく協働的な規範の構築,校長のリーダーシップの重要性(参加的な経営スタイルや同僚的なリーダーシップとの親和性)を明らかにした。そのうえで,ルイスらの文献では「分散型リーダーシップ」に適した学校のコンセプトとして「リーダーシップ密度の高い組織(leadership dense organization)」に触れられていたことから,アメリカの経営学者ジョセフ・ラエリン(Joseph A. Raelin) の「リーダーに満ち溢れた組織(leaderful organization)」に関する議論に着目して「リーダーに満ち溢れた実践(leaderful practice)」の理論枠組み(裁量・自律性・仕事を超える・内発的・信頼)に基づいて事例についての考察を加えた。②についてはコロナ禍のため実施できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍のためアメリカでの調査研究が実施できていないため。海外出張については次年度以降に持ち越したい。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度はオーストラリア出身の教育経営学者ピーター・グロン(Peter Gronn)の議論に着目した「分散型リーダーシップ」の理論的検討を行う。2023年度は「構成主義的リーダーシップ」の理論的検討を行うとともに,代表的論者への聞き取り調査およびアメリカにおける「専門職の学習共同体」の事例校における校長のリーダーシップに関する調査を行う予定である。
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Causes of Carryover |
理由は,①コロナ禍のため学会発表がオンライン開催となり旅費・宿泊費がかからなかったこと,②当初予定していたアメリカ出張がキャンセルとなったこと,にある。2022年度以降はアメリカ出張を行うとともにリーダーシップ論の関連文献を購入する計画である。
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