2022 Fiscal Year Research-status Report
「専門職の学習共同体」を創造する校長のリーダーシップに関する構成主義的研究
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20K02763
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
織田 泰幸 三重大学, 教育学部, 教授 (40441498)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 専門職の学習共同体 / スクールリーダーシップ / 分散型リーダーシップ論 / 構成主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は「専門職の学習共同体」としての学校を創造する校長のリーダーシップの特質について,構成主義的なリーダーシップ論の観点から理論的・実証的に検討することである。具体的な到達目標は,①「専門職の学習共同体」の基礎となるリーダーシップ論について,構成主義的なリーダーシップ論の観点からその特徴と位置づけを明確にすること,②アメリカの「専門職の学習共同体」としての学校の参与観察および校長への聞き取り調査をもとに,その学校の特徴や校長のリーダーシップの在り様を検討すること,である。①についてはオーストラリア出身の教育経営学者グロン(Peter Gronn)のスクールリーダーシップ論,カナダの教育経営学者フラン(Michael Fullan)のリーダーシップ論について整理・検討した。グロンの議論の特徴は,a.英雄・偉人学説や二元論からの脱却を目指している点,b.活動理論(activity theory)を基礎として独自の「分散型リーダーシップ(distributed leadership)」論を構築している点,c.「分散型」から「ハイブリッド・リーダーシップ(hybrid leadership)」へと議論を発展させている点にあることを明らかにした。次にフランのリーダーシップ論の特徴は,これからの校長の役割について,学習するリーダー(learning leader),システムプレーヤー(system player),そして変革の主体(change agent)へと変わる必要があると指摘していることを明らかにした。②についてはスケジュール調整が難航したために実施できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
グロンのスクール・リーダーシップ論については,学会発表の後に、さらに精緻な理論的検討を行う予定であったが、ハイブリッド,コンフィグレーション,批判的実在論といった難解な理論や概念の体系的な整理・検討が困難を極めたことが挙げられる。海外の学校訪問や研究者への聞き取り調査については、コロナ禍とスケジュール調整の困難さが相まって実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は「分散型リーダーシップ」論の検討(James Spillane, Alma Harris, David Hartley, Helen Gunterらの議論への注目)と「構成主義的リーダーシップ」との関連について考察するとともに,代表的論者への聞き取り調査およびアメリカにおける「専門職の学習共同体」の事例校における校長のリーダーシップに関する調査を行う予定である。
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Causes of Carryover |
理由は①学会発表がオンライン開催となり旅費・宿泊費がかからなかったこと,②当初予定していたアメリカ出張がキャンセルとなったこと,にある。2023年度以降はアメリカ出張を行うとともにリーダーシップ論の関連文献を購入する計画である。
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