2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K02768
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
竹中 伸夫 熊本大学, 大学院教育学研究科, 准教授 (60432704)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 熊本地震 / シークエンス / 社会科 / 授業開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
①先行実践の掘り起こしと分析:熊本県という地域的特性を生かし,熊本地震や人吉の水害に関する先行実践を複数入手し分析。そこから,現状の防災教育の特性と課題について解明できた。具体的には,自助・共助・公助のうち,自助や共助をどうしていくかを念頭に,自分たちにできることを考えさせる授業が中心であることが判明した。たしかに,防災教育としてはそうした授業も必要なのかもしれないが,自助や共助にはそもそも限界がある。社会科は民主主義社会に生きる市民を育成する教科である。常日頃から,どのような公助があるかを知り,それで不十分ならその在り方を検討し,必要に応じてその公助を新しく構想し,実現するよう働きかけることこそが,社会科が求める民主主義社会に生きる市民として必要な資質を育成するためにも求められるのではないだろうか。 ②シークエンス原理の確定:①の先行実践に対する問題意識に基づき,その具現化に最も資するシークエンス原理として,いくつかの理論仮説のうち,目標論の段階性に基づく仮説を採用することとした。そのうえで,防災や災害という教材の特性を加味して,目標論の段階性を精緻化できた。 ③教材研究の深化と授業づくり試案の作成:②の精緻化した目標論の段階性に基づき,小学校社会科と中学校社会科の授業実践を構想中である。具体的には,小学校としては,熊本地震におけるプッシュ型支援の特質と課題を再検討する授業を,流通を視点に授業化することとし,市町村の担当者と県の担当者に取材をおこなった。また,中学校の社会科(公民的分野)としては,熊本地震と災害ごみを取り上げた授業化を考えており,同じく市の担当者に取材をおこなったところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
①コロナ禍:コロナ禍によって初年度(昨年度)に想定していた研究がほとんど行えなかった。加えて,本年度も研究協力者である学校教員が多忙のため,あまり協力は得られていない。今年度は多少はリカバリーできたが,当初予定していた計画と比較すると遅れていると断じざるを得ない。 ②自身の体調不良:体調がすぐれず,あまり研究できる状況にない。
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Strategy for Future Research Activity |
①に関しては,研究協力者の負担をなるべく減らしてできるよう研究の方針や計画を昨年度途中より大幅に見直し,実行中である。見直した計画に基づき,期間を4年間に延長することで,リカバリーは不可能ではないと考える。ただし,②の体調がどうなるかにもよるが。
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Causes of Carryover |
研究の進捗状況が思わしくなく,3年間の研究期間を4年間に延長するつもりで,残しながら使っているため。 今年度末をもって,昨年度末までの分を使用して研究を遂行し,次年度にもともとの3年目(本年度)の基金を活用して成果の公開を考えている。
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