2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K02774
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
関根 明伸 国士舘大学, 体育学部, 教授 (10364449)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 韓国 / 道徳科 / 道徳科教科書 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、第一に、韓国における道徳科の「教育課程」と教科書の改革動向への理解を得ること、第二に、わが国の道徳科教科書の開発に資する教科教育学的な示唆を得ることを目的としている。韓国では1973年より学校の道徳教育は教科化されており、とりわけ2000年以降ではカリキュラムや教科書に対する開発研究が積極的かつ急速に進められている。本研究では2007年以降の韓国・道徳科の「教育課程」と教科書を分析の対象とし、カリキュラムの構造と教科書の内容構成を明らかにすることで改革動向を探り、わが国の道徳科教科書の改善と開発への示唆を得ることを目的としている。 そこで本研究は、韓国ではこれまで如何なる理念の下で「教育課程」および教科書が設計され開発されてきたのか、そしてこれらは如何なるカリキュラム構造と内容構成を有しているのか明確化することを課題とした。2007年から現在までの韓国・道徳科を対象に、各「教育課程」におけるカリキュラムの構造と教科書の内容について歴史的・理論的に分析し、動向を究明しようとするものである。 しかし、2022年度は2020~2021年度と同様に、新型コロナ感染症の拡大等により、当初予定していた韓国での現地調査や文献収集の機会は失われしまい、本来の調査予定は大幅に遅れている。したがって、2022年度は限定的に文献資料を収集するとともに、論文や学会発表等を通じて研究の深化をはかることに専念した。2023年度においては早い段階での現地調査を展開し、道徳科のカリキュラムや教科書に関連する文献等の収集や関係者の聞き取り調査などを展開したいと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は、「2007改訂教育課程」(2007)から「2015改訂教育課程」(2015)までの実施時期を対象に、①一次資料に基づき実証的に検証すること、②「教育課程」と教科書における構造と内容構成の特徴を明らかにすること、③日韓両国で成果を発表すること、の3点を研究の特色としている。 2022年度は、(1)初等学校および中学校の道徳科に関する文教政策の動向とともに、「教育課程」および教科書の構造と内容構成の変容について一次資料を中心に収集・分析すること、現地で開発研究に携わった行政関係者や研究者、教科書執筆者からも聞き取り調査を行うことで開発の過程を整理することを計画していた。しかし、新型コロナウイルス感染症にともなう海外調査研究の制限により、現地での調査は全く実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は「2007改訂教育課程」から「2015改訂教育課程」までの道徳科カリキュラムと教科書を研究・調査の対象としており、当初は「2007改訂教育課程」期から順次進めていく計画であった。しかし、新型コロナウイルスの影響によって研究が大幅に遅れている点を考慮し、まずは「2015改訂教育課程」期のカリキュラムと教科書の分析を進め、最新の道徳科教育の動向から調査していくことにしたい。
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Causes of Carryover |
2021年度に引き続き、2022年度も新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、韓国における基本的な一次資料の収集活動、カリキュラム研究者への聞き取り調査、教科書を執筆した研究者等への聞き取り調査を進めることが全くできなかったこと、そして国内外の学会での研究発表の機会も限られたため、予定していた予算額を十分に執行することができなかった。よって2023年度は渡航が可能になり次第、速やかに現地での一次資料収集と聞き取り調査を進めるとともに、国内外の学会等での研究発表を積極的に 進めながら計画的に執行していくつもりである。
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