2021 Fiscal Year Research-status Report
体力と運動有能感が継続して低い児童の受容感を高め問題解決を図るための実証研究
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20K02788
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
橋爪 和夫 富山大学, 人間発達科学部, 名誉教授 (80189472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 泰子 富山国際大学, 子ども育成学部, 講師 (00795958)
澤 聡美 富山大学, 学術研究部教育学系, 講師 (80369488) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 児童 / 握力 / 向上継続者の割合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会において、本研究の基礎的概念である「児童の体力は加齢に伴い向上しているのか」という問いに対する事例を報告した。 本年度は、加齢に伴う児童の握力値の変動を明らかにした。【方法】対象者は2016年から2019年の4年間富山県内のK小学校に在籍した全ての児童である。2016年の1年(男子59人、女子53人)2年(男子41人、女子37人)3年(男子51人、女子54人)について、4年間加齢にともない継続して向上した向上継続群とそれ以外の非向上継続群に分類した。向上継続群・非向上継続群の平均値と全国平均値のt検定を行った。【結果】2016年の1年男子の向上継続群は29%、2年男子は44%、3年男子は35%であり、1年女子の向上継続群は42%、2年女子は43%、3年女子は39%であった。全国値と比較すると、非向上継続群は2016年の1年生で有意差はなかったが4年生になると有意に低くなった。向上群は1年生で有意に低かったが、4年生では有意差がなくなった。2016年の1年女子の向上継続群は全国値よりも有意に低いが4年生になると全国値や非向上継続群よりも有意に大きくなった。2016年の2年男子では、非向上継続群は学年進行に伴い全国値よりも有意に低くなるが、向上継続群は有意差がなかった。女子では、向上継続群は全国値よりも有意に低かったが、有意差のない程度に大きくなった。2016年の3年男子では、非向上継続群は向上継続群kよりも有意に小さくなるが、向上継続群は全国値よりも有意に大きくなった。女子では、向上継続群は6年生になると非向上継続群や全国値よりも有意に大きくなり、非向上継続群は、全国値よりも有意に小さくなった。【考察】握力値が4年間毎年向上する児童の割合は、高くて44%であった。向上継続群の握力値は非向上継続群よりも増大傾向が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の目的は技能下位児(以後PS児;Poor Skill の意味、と表記)ついて以下のことを実証することであった。 1.体力と運動有能感がクラスの平均値よりも継続して低いPS児の体育の授業観察と学習支援を通して、「受容感」を高め、その高まりが「統制感」を高め、「身体的有能さの認知」が変わらなくても「運動有能感」が高まり、その結果として体育が好きになることを実証する。 2.運動が苦手でも、「受容感」が高まれば体力がクラスの平均値以下であっても、運動が好きになり、体育の授業が楽しいと思う児童の育成ができることを実証する。 3.学童保育の場では運動指導も行い体育授業内容と同様の実証研究を行う。学校外で高めたPS児の運動有能感が学校教育の場で維持され発揮されるかどうか検討する。 しかしながら、昨年度に続き本年度も研究協力校からの研究実施のための入校及び体育授業の観察と介入の同意を得ることが困難であった。また、学童保育においては、さらに新型コロナに対する予防対策が厳重になり調査の同意が得られなかった。本年度はこれまでのデータの解析と文献研究を行い、必要経費は次年度からの調査に充当できることを期待して留保した。
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Strategy for Future Research Activity |
小学校の授業観察と介入研究はCOVID-19の影響がなくなって、研究協力校の学校長の許可が得られ次第行う予定である。小学校での研究が困難であれば、学童保育を対象とした研究を推進する計画である。
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Causes of Carryover |
昨年度に続き本年度も研究協力校から研究実施のための入校及び体育授業の観察と介入の同意を得ることが困難であった。さらに、研究対象校の体育科の授業は新型コロナの感染対策を考慮した方法を用いて行っているため、本研究の主旨を十分に生かした研究が困難であると判断した。また、学童保育においては、昨年度よりもさらに新型コロナに対する予防対策が厳重になり、指導員の負担が増大したため調査の同意が得られなかった。本年度はこれまでのデータの解析と文献研究を行い、必要経費は次年度からの調査に充当できることを期待して留保した。
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