2022 Fiscal Year Research-status Report
音楽科における資質・能力モデルの構築とその育成のための授業デザイン
Project/Area Number |
20K02791
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
清村 百合子 京都教育大学, 教育学部, 教授 (50423223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
衛藤 晶子 畿央大学, 教育学部, 教授 (60637669)
三輪 雅美 名古屋柳城女子大学, こども学部, 准教授 (70563914)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 音楽科 / 資質・能力 / 表現 / 発達特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、実践研究の蓄積とその分析を通して、音楽科における資質・能力モデルを構築し、それらを系統的に育成することを目指し、就学前から小学校・中学校・高等学校における音楽科の授業プログラムを開発することである。 第1年次では、小学3年、小学6年、中学3年で同一教材、同一学習過程を計画し、子どもたちの認識の内容や方法にどのような違いが現れるのかについて分析し、発達特性による認識の違いを明らかにした。 第2年次では、これらの発達特性を踏まえた上で、批評に関わる学年別スタンダードの精緻化をはかった。小学校中学年では指導内容である特定の諸要素を手がかりに、具体的なイメージをもって楽曲をとらえることができ、中学校になると、楽曲を成り立たせている諸要素を相対的重層的にとらえ、それらを根拠として、その楽曲ならではの特質をとらえることができる。 第3年次では、表現過程や表現技能に関して発達特性を明らかにした上で、スタンダードの精緻化をはかった。具体的には、小学校第4学年および中学校第1学年において、同一教材で器楽授業を実践し、それぞれの表現過程を導出したうえで、そこで働く能力にはどのような違いがみられるのか、明らかにした。分析の結果、小4では、身体を通した「コミュニケーション」を土台として演奏の工夫に関する「発想」の能力が常に作動することが明らかとなった。一方、中1では、常に「手段と結果の関係づけ」の能力が働き、それがイメージを表現するための「技能」を更新する起動力となって表現活動が発展することが明らかとなった。 以上より、本研究では、鑑賞および表現それぞれの活動領域において、発達による資質・能力の違いが明確になったことで、発達段階を意識した資質・能力のスタンダードを具体化することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
最終年度の令和4年度において、実践分析を踏まえてスタンダードを意識したブックレットを作成する予定であったが、令和2年度から4年度にかけて新型コロナウイルス感染拡大防止のため、音楽科授業では様々な活動制限が余儀なくされ、実践の延期が続いた。したがって、一年延長申請をし、令和5年度にブックレットを作成する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題については1年間延長し、令和5年度では、就学前から高等学校を見通して、音楽科における資質・能力の育成を目指した授業デザインの普及を目指し、ブックレットを作成する予定である。
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Causes of Carryover |
音楽科における資質・能力の育成を目指したスタンダードの普及に向けて、全国の学校教員が臨機応変に活用できるブックレットの作成を計画している。そのため、紙媒体のみならず、QRコードなどを活用したオンライン上での展開も視野に入れ、予算と時間をかけたブックレットの作成にあたることにした。次年度使用額926,547円については、紙媒体およびweb展開によるブックレットの制作費にあてる予定である。
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Research Products
(2 results)