2020 Fiscal Year Research-status Report
パフォーマンス評価を活用した音楽学習における支援の類型化
Project/Area Number |
20K02803
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
根津 知佳子 日本女子大学, 家政学部, 教授 (40335112)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 音楽的発達 / 創造的音楽活動 / 認知とパフォーマンス / パフォーマンス評価 / 覚識の連続体 / SDG’s / 支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、二つの柱から成っている。第1の柱は、音楽的発達の質的転換期にあたる小学校中学年レベルの音楽的認知に関するパフォーマンス評価を開発することである。これについては、ボクシルの<覚識の連続体>のモデルに依拠した事例検討を行い、2本の査読論文を発表することができた。2本の論文では、前言語段階を対象した個別活動と小学校中学年レベルを対象としたグループ活動を事例としたため、幼年期の表現を分析するツールとしての可能性について次年度も継続して検討する予定である。ボクシル理論における「図と地の分化がアイデンティティ形成に与える影響」については、内外での研究が少ないため、本研究においてモデル化・可視化することにより音楽教育や音楽療法の実践に寄与するものと考える。 この他<音楽療法的アプローチ>の視座により、特別支援学級での継続した実践をまとめることができた。前述のボクシルの<覚識の連続体>のモデルと<音楽療法的アプローチ>の概念を規定したことから実践や研究の協働に関する意見交流を図ることが可能になったと考える。 第2の柱では、これまで開発したパフォーマンス評価を活用し、音楽学習の壁(つまずき)の要因である「身体・運動」「認知」「技能」「文化」「環境」「心理」の観点による、音楽学習における支援を類型化することを目指している。この点については、2000年、2019年に実施したカンボジアの小学校における合奏支援について再検討した。その際に「音楽的認知とパフォーマンス」に焦点を当てた分析にSDG'sの17のゴールを加えて、新たな視座で検討を進めることができた。 以上、コロナ禍にあり、予定していた海外での調査研究はできなかったが、これまで収集したデータを多角的に分析することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍のため、内外の調査研究はできなかったが、2本の査読論文を発表することができた。ボクシルの「覚識の連続体」のモデルを用いて前言語期および小学校中学年レベルのパフォーマンスを分析することができたことにより、音楽教育や音楽療法における実践分析のツールとしての可能性を見出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、音楽療法家ボクシル女史について、米国における研究論文を検討するとともに、ボクシル女史と協働した実践家へのインタビューなども行う予定である。 パフォーマンス課題に関する調査研究について、カンボジアの事例については現地調査が困難である場合にはオンラインによる調査を行う予定である。国内の調査については、感染予防に留意し、可能な範囲で実施する予定である。
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Causes of Carryover |
新型感染ウィルスの拡大により調査や出張ができなかったため、次年度への繰越金が発生した。当該予算は、調査や出張費用として予定している。また、コロナ禍での出張・調査ができない場合は、オンラインによる調査等にかかる費用として計上する。
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Research Products
(9 results)