2021 Fiscal Year Research-status Report
Society 5.0に向けて学校運営で朝鑑賞に取り組む効果測定とシステム開発
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20K02804
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Research Institution | Musashino Art University |
Principal Investigator |
三澤 一実 武蔵野美術大学, 造形学部, 教授 (10348196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東良 雅人 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター研究開発部, 教育課程調査官 (70619840) [Withdrawn]
米徳 信一 武蔵野美術大学, 造形学部, 教授 (80240381)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 鑑賞 / 対話 / 日本語教育 / 美術教育 / ファシリテーション / 朝鑑賞 |
Outline of Annual Research Achievements |
朝鑑賞については実作品を貸し出す取り組がコロナ感染症の影響を受けてデジタル朝鑑賞の取り組みにシフトした。それにより、実作品の提供という物理的な限界を超え海外においても活用されるなど今までよりも発展した取り組みとなった。その一例としては、海外における日本語教育への導入が挙げられる。この海外でのデジタル朝鑑賞の取り組みを可能にしたのはGoogleフォトを使った作品画像の提供である。作品画像の提供は希望者にリンクを共有する方法で提供している。このシステムにより多くの作品借用希望者が利用できるようになった。 鑑賞作品の画像提供に関しては、不特定多数の人に作品画像を提供するホームページ作成に取り組み、利用者と提供者とをつなぐ事で研修等のサポート体制を構築できるデジタル画像のリンク提供型と、そして従来の実作品貸し出し型の3つのシステムの3系統を考えるとともに、実作品も合わせて貸し出すハイブリッド提供も考えた。また、本学だけで無く他大学や他機関等との協力も構築し、広く鑑賞活動ができるようするシステム構築も始めた。 理論検証では、朝鑑賞の取り組みがsteam教育とどのように関連づけられるかの考察も、実施状況の視察や現場教師のインタビューと話し合いを行い、この取り組みの可能性を考察してきた。 国内においては新たに4校での取り組みが始まった。デジタル化によって教室前面のモニターと共に、生徒一人一人が手元のタブレットをみながら作品について対話が生まれる様になっていった。 このようなデジタル画像を使った取り組みでも、また従来の実作品を使った取り組みでも、教師のファシリテーションのしかたには変化がなく、ファシリテーション能力の獲得が必用であり、研修とセットで広げていく必要性を感じる。本年度は研修を4校、延べ5回行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍により対面活動や国内外の視察などが制限され、実施状況の視察や交流ができない点においては計画変更を余儀なくされている。 一方、インターネットを使った朝鑑賞のシステム開発は予定以上に進み、今後、このデジタル画像を使ったシステム開発が中心となった。この取り組みにより、より大の人々が利用できる取り組みの可能性が見えてきた。現在は作品や作品画像を提供する方法について検討を行い、より多くの人に継続して使ってもらえるシステム作りの検討に入っている。 海外との事例検証につてはコロナ感染症の関係で渡航ができずペンディングとなっている。国内についても対面での話し合いがしにくい状況の中で、近隣の学校と少ないながら話し合いを進めてきた。特にデジタル朝鑑賞については今年度からの取り組みであり、その検証が必要となっている。 作品提供をデジタル画像としたことから、海外の日本語教育教員の利用が始まった。この利用は当初考えていなかった取り組みで、今後の利用を考えると1つのルートになっていく。 朝鑑賞の成果研究では、その実証法をインタビューによる語りの収集に切り替えてみた。学力向上などは各学校が実施ている学力調査に現れれるが、子どもの質的な変化については直接関わりを持っている教師からのインタビューがよいと考えている。インタビューにお燗しては2校8件収集できた。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ感染症が未だ衰えない状況を勘案し、実作品の貸し出しと共にデジタル画像の提供を充実させる必要を感じる。今後この貸し出しシステムの改善と共に、学内において継続的に作品を借り出すシステムの改善も求められる。具体的には大学のHPに朝鑑賞作品の頁を構築し、不特定多数の方がアクセスできるようにしていく。そして作品情報に関する提供の仕方も考えていく。リンク型の提供については、相互にコミュニケーションがとれる仕掛けを充実させ、それを生かして研修の機会などを提供していく。 利用者の拡大に関しては、あらゆる機会を通じて広報をしていく必要がある。この利用者拡大が、美術館の取り組みに拡大したりすることを願っている。今までの学校などでの実施拡大を考えていたが、今後提供者の拡大も考えていく必要があり、地方の美術館へのアプローチをしていく。 成果の検証については利用者数も1つの指標になる。またインタビューによる聞き取りを通して、取り組みの成果を検証していく。 海外の日本語教育者との連携は、コロナで渡航できない状況の中で、貴重な検証機会となる。引き続き出来上がったネットワークを生かして本取り組みの検証の機会を得ていく。 研究テーマに即しながら、柔軟に本研究の可能性が広がる取り組みを取捨選択して行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ感染症拡大に伴う旅費が使用されなかったのが主な理由である。次年度も状況を見ながら判断するとともに、旅費未使用分を、以前の計画にはなかったHP作成に回していく。このHP作成に関しては、コロナ感染症に伴う対面活動の自粛を補完する取り組みであるとともに、本研究課題「Society5.0に向けて学校運営で朝鑑賞に取り組む効果測定とシステム開発」に合致した取り組みとなる。よって旅費から人件費へ予算の書き換えを行う。
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Research Products
(1 results)