2023 Fiscal Year Research-status Report
『原爆体験記』の教材化を通した、世界平和に貢献する次世代育成に関する研究
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20K02805
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
尾関 はゆみ 玉川大学, 教育学部, 講師 (30802441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神山 直子 国立音楽大学, 音楽学部, 非常勤講師 (80802438)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 『原爆体験記』 / 教科「外国語」 / 特別の教科「道徳」 / 「総合的な学習の時間」 / CLIL(内容言語統合型学習) |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、恵の丘長崎原爆ホーム(以下、原爆ホーム)の被爆体験者への聞き取り調査、及び原爆ホームが編纂してきた『原爆体験記』の文献研究をもとに、 教科「外国語」、特別の教科「道徳」、「総合的な学習の時間」で活用する教材開発を行うものである。 2023年度は、『原爆体験記』以外の被爆体験記に関する先行研究の収集・分析を進め、前年度行った『原爆体験記』第1集~第26集の計量テキスト分析結果等と合わせて論文執筆を行った。また、教材化に向け、教科「外国語」、特別の教科「道徳」、「総合的な学習の時間」において本テーマを取り上げる意義や方法についてさらに検討を進めた。特に、教科「外国語」においては、内容に関する学習と外国語学習を両立させる必要があるため、CLIL(Content and Language Integrated Learning 内容言語統合型学習)の手法を用いることが有効であると考え、小学校段階でのCLIL実践事例の収集・考察等を進めた。この一環として、オーストリア・ウィーン市教育委員会よりVBS (Vienna Bilingual School)に指定されている小学校2校を訪問、授業観察等から教材・実践に関する示唆を得た。また、それらを報告書にまとめた(Proceedings from the CLIL Summer Seminar Program at the University of Vienna in 2023[J-CLIL/ CLIL-iteより2024年4月発刊]に掲載)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
進捗が遅れている理由として、新型コロナの影響がある。2023年5月より新型コロナが5類となったため、当初計画していた原爆ホームに入居している被爆者の聞き取り調査について、実施の可能性を検討した。しかし、当ホームは感染リスクの高い高齢者が多いことから、5類移行後も感染防止に細心の注意を払う必要があることや、5類移行までの約3年間の間に入居者の状況が変化しており、他界されたり病気や障害の症状が進行し体験を語ることができない状態にある等、本研究の根幹をなす聞き取り調査の実施そのものが、現状困難であることが明らかとなった。そのため、改めて研究の方向性や今後の方策について検討することが必要となり、進捗が遅れる結果となった。 また当初の計画では、2022年度に、開発した教材(または施策)を使った実践や意見交換を研究協力者と行うべく、アメリカまたはカナダに渡航する予定であったが、新型コロナの影響により実現することができなかった。そのため、2023年度の実現を目指していたが、上記のような理由による研究進捗の遅延、また研究協力者の所属機関の変更等によりその実現が困難となったため、本研究の実践につながる小学校段階のCLIL実践の海外(ウィーン市の公立小)視察に変更した。
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Strategy for Future Research Activity |
前述の理由により、当初の研究計画通りに研究を推進することが極めて困難な状況となっている。しかしながら、これまでの研究の実績およびそれらから得た知見を今後学会等で発表するとともに、並行して論文執筆を進める。またそれらを原爆体験をテーマとする教材開発や実践につながる知見とできるよう報告書としてもまとめていく予定である。
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Causes of Carryover |
前述(「現在までの進捗状況」欄に記載)の理由により、原爆ホーム入居者(被爆者)への聞き取り調査を実施することができなかったこと、またそれに伴い教材開発等に関しても研究計画に変更が生じることとなり、本年度それらに使用する予定であった経費を使用するに至らず、次年度使用額が発生することとなった。研究期間を2024年度まで延長することが認められたため、次年度はこれらの経費を本研究の国内外での学会発表や報告書作成等にあてたいと考えている。
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