2021 Fiscal Year Research-status Report
沖縄戦体験の記録と継承へ向けて-戦中・戦後の子どもの視点による口述記録を中心に-
Project/Area Number |
20K02806
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Research Institution | Gifu Women's University |
Principal Investigator |
加治工 尚子 岐阜女子大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (40599130)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 里佐 岐阜女子大学, 公私立大学の部局等, 教授 (10440554)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | オーラルヒストリー / デジタルアーカイブ / 戦争証言 |
Outline of Annual Research Achievements |
沖縄の戦中・戦後の子どもの視点によるオーラルヒストリーの記録と関連資料を含めたデジタルアーカイブの構築を行い、素材資料への地域視点での意味づけと効果的な活用の可能性を探った。 終戦から七十年以上が経過し、戦争の記憶の風化が懸念される中、教育現場では、外部講師として頼っていた戦争体験者の減少などもあいまって、教師らからの戸惑いの声が少なくない。また、戦争証言資料を学校教材として活用するには、同年代の子どもたちが経験した戦中・戦後の話や関連資料を提示することが効果的である。悲惨な出来事だけに終始するものではなく、当時の生活の様子や遊びなども交えて確認しておくことで、子どもたちを取り巻く生活背景も含めた記録にしたい。そのために、本研究では、身近な地域や自分の視点に置き換えて考えることの出来る戦争体験の証言コンテンツ作成を目指した。 しかし、令和2年度は、新型コロナウィルスの蔓延のため、当初の計画通りに研究を進めることが難しい状況にあり、高齢者である戦争体験者からの口述記録を新たに行うことは叶わなかった。令和3年度にかけて、一時期状況の好転があり、体験者のからの聞き取りを実施したが、数回の聞き取りの間に話者の体調や住環境等の変化があり、直接対面による調査を休止せざるを得なくなった。そのため、当初計画していた研究活動を実施することが困難な状況が続き、昨年度同様、既存資料の掘り起こしと整理作業を中心とした活動をつづけている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
1. 新型コロナウィルスの蔓延と感染予防等の措置により、予定していた聴取活動が行えなかった。 2. 新規の聴取を1件実施したが、途中から聞き取り記録が困難な状況になり、保留せざるを得なくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度(3年目)は、作年度に作成予定しつつも実行できなかったプロトタイプの作成を目指す。対象地域を柔軟に考え、聴取可能な体験談の記録活動を優先的に実施し、とりまとめの足掛かりとする。 ①映像記録…オーラルヒストリーの収録(男女1名以上)、関連資料の撮影・記録活動、②文献調査…地域誌や記念誌などの調査(図書購入・複写作業等)、③音声翻字…文字起こし、④現地取材…防空壕・避難先・あそび場などの記録、⑤教材開発…アーカイブの構築・実践・改善 その他、可能であれば、古写真等を準備し、地域の方々に見ていただきながらコメントを収録し、当時の様子を明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
研究計画の初年度であった令和2年度から昨年の令和3年度にかけてのこの2年間は、新型コロナウィルス感染症の蔓延防止対策等により、予定していた研究を計画通りに実施することが困難であった。とくに、研究の調査対象者である戦争体験者が高齢であるため、直接の聞き取り調査や関係者への確認作業の機会がほとんど得られず、昨年に引き続き、既存資料の整理作業などの活動が中心であった。そのため、調査費用や作業依頼等の支出実績がない。 今年度は、当初計画していた直接対面調査が可能になり次第、順次記録活動を再開するため、前年度分を含めた研究費用が生じるが、対面調査の進捗状況によっては補助事業期間を1年延期する可能性もあり。
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