2021 Fiscal Year Research-status Report
類推において必要な知識の想起を促進する方法とその評価法に関する理論的・実証的研究
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20K02828
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
中川 裕之 大分大学, 教育学部, 教授 (00450156)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 類推 / 評価 / 想起 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では「ベースの想起や評価の促進方法を明確にする」、「ベースを想起,評価する能力の長期的な変容を捉える水準を設定する」という二つを達成することを目的としている。本年度は、このうち前者に関連して、下位目標Ⅱの「ベースの評価からベースの想起につなげる方法を導出する」ことを目指して研究を進めた。なお、来年度も同じ下位目標Ⅱを目指し、二年間で目標達成を目指す。 そのために、本年度は、大きく分けて4つのことを行った。一つ目は、去年度を行った調査結果を再分析することで、問題解決に必要なベースの想起を促進する方法を構想したことである。二つ目は、上記で構想した促進方法を文献研究を通して検証、洗練し、ベースの想起を促進する方法を導出したことである。三つめは、導出した想起,評価を促進する方法を検証する事例研究を行ったことである。事例研究は当初はペア8組16名に対して実施する計画であったけれども、コロナ感染症の影響を受け、ペアでの問題解決ではなく、個人で問題に取り組む形式で行うことにした。これは会話によってコロナに感染する危険性が考えられたためである。その代わりに、事例研究とは別に授業を通して方法を検証する研究授業を4クラスで行うこととした。四つ目は、それらの事例研究、研究授業という調査結果を分析することを通して、導出した想起,評価を促進する方法の有効性を分析し、部分的に改善したことである。 これら4つの研究を通して、ベースの評価からベースの想起につなげる方法を導出し、その有効性を検証した。なお、有効性の検証は方法を変えて来年度も継続する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は「ベースの想起や評価の促進方法を明確にする」ために下位目標Ⅱの「ベースの評価からベースの想起につなげる方法を導出する」ことを目指して研究を進めた。そして、当初の計画通り、次の四つのことを行った。第一に、去年度を行った調査結果を再分析することで問題解決に必要なベースの想起を促進する方法を構想したこと。第二に、上記で構想した促進方法を文献研究を通して検証、洗練し、ベースの想起を促進する方法を導出したこと。第三に、導出した想起,評価を促進する方法を検証する事例研究を行ったこと。第四に、それらの事例研究、研究授業という調査結果を分析することを通して、導出した想起,評価を促進する方法の有効性を分析し、部分的に改善したことである。 このうち、第三の事例研究については、当初はペア8組16名に対して実施する計画であったけれども、コロナ感染症の影響を受け、実施する学校から計画、方法の変更が求められた。そこで、ペアでの問題解決ではなく、個人で問題に取り組む形式で行うことに変更した。これは問題解決について相談する会話によってコロナに感染する危険性が考えられたためである。しかし、そうすると、協働的な活動に関する側面が分析できなくなる可能性が考えられた。そこで、事例研究とは別に、授業を通して導出した方法の有効性を検証する研究授業を4クラスで行うこととした。 このように、コロナ感染症の影響で、調査の方法を変更することにはなったけれども、代わりに研究授業という形式で調査を行うことでその点をカバーした。このため、当初の研究目的に適した方法で研究を進められていると考え、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
上記でも述べたように、本研究では「ベースの想起や評価の促進方法を明確にする」、「ベースを想起,評価する能力の長期的な変容を捉える水準を設定する」という二つを達成することを目的としている。来年度は、本年度に続き、このうち前者に関連して、下位目標Ⅱの「ベースの評価からベースの想起につなげる方法を導出する」ことを目指して研究を進める。 そのために、来年度は、大きく分けて4つのことを行う計画である。第一は、今年度の調査結果からベース想起,評価の促進方法を確定することである。これにより、下位目標Ⅱが達成されると考える。第二に、本年度行った事例研究、研究授業の結果を再分析してベースを想起する能力水準を仮設定することである。そのうえで、第三に、導出した促進方法を用いる実験授業を附属中学校3クラスで実施することである。第四に、授業結果の検証から促進方法の妥当性の立証と能力水準の改善を行うことである。 これによって、前者の目的である「ベースの想起や評価の促進方法を明確にする」を達成したうえで、「ベースを想起,評価する能力の長期的な変容を捉える水準を設定する」研究へと移り、最終年度に向けて後者の目的の達成を目指す予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ感染症の影響で旅費が不要となったためである。大きくは次の二つに拠る。第一に、国内、海外ともに研究発表会がオンライン開催となり、旅費が不要となったため、多額の次年度使用額が生じた。第二に、調査研究も、県外の学校への視察、調査ができなくなり、県内に限定されたため、この点でも旅費が不要となり、次年度使用額が生じる結果となった。来年度からもコロナ感染症の影響は予想されるものの、旅費を使用する機会は生じると思われ、積極的に学会参加、学校現場や授業の参観を行っていくことを考えている。
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