2021 Fiscal Year Research-status Report
僻地・小規模校における家庭科教育に関する研究 ー異校種間の情報共有を視点としてー
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20K02829
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
伊波 富久美 (有澤) 宮崎大学, 大学院教育学研究科, 教授 (90193630)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 博典 宮崎大学, 教育学部, 准教授 (10510753)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 小中連携 / 中学校家庭科 / 情報共有 / 小規模校 |
Outline of Annual Research Achievements |
【本研究の目的】地方の公立小・中学校では、人口減少による学校の小規模化、交通網が発達していない現状、小・中学校が点在している地理的特徴といった 複数の要因が重なって、異校種での指導内容やそこでの学びの実態を把握することは難しい。とりわけ、中学校家庭科のように学校に担当教員が1人しかおらず、さらに他教科教員が家庭科も兼担しているケースも少なくない状況では、授業改善を図るために教員同士で情報交換しようとしても物理的距離が大きな阻 害要因になる。そこで本研究では,小規模校における家庭科の学びが継続的に深まり、自己の学び を見つめることのできる授業の実現に向けて、小・中学校の異校種間に共通するツールを用 いて情報を蓄積・共有及び活用し、指導内容の精選及び授業構成・改善を図るシステムを構築する。そして実施した授業の分析等を行うことによって、その有効性を検証し今後の課題 を明らかにすることを目的とした。 【令和3年度研究概要】1.家庭科 で情報共有を行う上での学習環境についての調査:異校種間での情報共有にはICTの活用が重要であり、宮崎県におけるインターネット環境等について状況調査を行った。通信速度などの物理的な環境整備のみならず、支援員の配置や教員研修が十分ではないなどの現状と課題が明らかになった。2.家庭科授業における教師及び生徒のICT活用状況の把握:家庭科において先行して実施されている高校でのICT活用状況を調査した。その結果、教師からの情報提供には積極的に活用されていたが、ICTの双方向を生かした授業になっていない実態が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナ感染拡大の影響を受けたものの、宮崎県におけるインターネットの整備状況について聞き取り調査を行い、整備がまだ十分でいないことを明らかにし課題を把握することができた。また家庭科授業におけるICT活用の課題を明確化し、授業構想の視点を得た。さらに、小・中・高校家庭科教員への情報提供の場として「家庭科の授業を語る会」のホームページを立ち上げ、運用を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、インターネットの現段階での整備状況を把握できたが、今後もインターネット環境の変化をふまえながら、異校種間の家庭科授業の情報や児童・生徒の情報共有に向け、宮崎県教育研修センターが運営する「教育ネットひむか」の活用なども試行し、可能性と課題を明らかにする。 「家庭科の授業を語る会」のホームページに「指導記録用紙」や「ポートフォリオ型ワークシート(P型シート)」等をアップした。それらを用いて各校の家庭科担当者が授業や児童・生徒の情報を相互に共有及び活用ができるようにし、異校種間の円滑な連携を目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症拡大の影響により、家庭科教員への面接調査や出張を伴う学会発表等が制限されたため、次年度使用額が生じた。令和3年度に予定していたそれらの研究内容等を令和4年度に繰り越して実施する。
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