2021 Fiscal Year Research-status Report
Clinical-educational curriculum development of the transitional period between preschools and elementary schools based on the play-world design
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20K02842
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Research Institution | Fuji Women's University |
Principal Investigator |
庄井 良信 藤女子大学, 人間生活学部, 教授 (00206260)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 保幼小接続 / カリキュラム / 臨床教育学 / プレイワールド / 情動理論 / ヴィゴツキー / ICT教育 / ナラティブ |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度も、内外で厳しいコロナ禍が継続していたため、園や学校への直接的なフィールドワークや海外調査は、特別に協力を認めていただいた事例を除いて、基本的に見送った。それに伴い、今年度の研究活動は、遠隔会議システム(ZOOM)を活用した理論研究と実践研究を遂行した。理論研究では、本テーマに関する国際的な情報交流(リトアニアの研究者との遠隔面談)を実施した。それに加え、文化歴史的理論において、情動体験の理論、3歳及び7歳における発達の危機の理論、遊びと学びの接続期における「発達と教育」の理論等を中心に、プレイワールド・デザイン(PWD)の教育・保育実践に関する内外の文献を蒐集し、そのレビューを行うことを通して、保幼小接続期カリキュラムに関する発達論的な基礎理論の構築を継続した。実践研究で、幼稚園や小学校の現場教員等への聴き取り調査(札幌市内の認定こども園)や、小学校でのデザイン実験(北海道内の公立小学校)を実施し、基礎データを蒐集することもできた。また、基礎研究としては、本研究にICT機器を活用したPWDに関する情報蒐集も行い、その成果を藤女子大学人間生活学部紀要第56号に「DX時代におけるICT教育の未来像―臨床参画法(CIM)による授業分析に関する考察」として纏めることができた。これらの理論研究及び実践研究を通して、臨床教育学の一つの重要な研究分野を開拓し、国際的な共同研究の基盤を構築することができた。さらには、日本発達心理学会第33回大会において、「想像遊びの協働的構築におけるナラティヴの意味-ブルーナーのナラティヴ論を手がかりに」というシンポジウムにおいて、「ナラティブ・ラーニングの詩学-関係論的存在論(relational ontology)と臨床教育学の問い」というテーマで発表し、本研究のテーマを発展させる重要な知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍が継続していたため、園や学校への直接的なフィールドワークや海外調査は、特別に協力を認めていただいた事例を除いて、基本的に見送らざるを得なかったため、臨床的な参画研究によるデータ蒐集には多くの制約があった。しかし、国際的な研究活動は、遠隔会議システム(ZOOM)を活用して遂行することができた。理論研究では、リトアニアの研究者との遠隔面談も実施できた。また、文化歴史的理論において、情動体験の理論、3歳及び7歳における発達の危機の理論、遊びと学びの接続期における「発達と教育」の理論等の文献蒐集、並びにプレイワールド・デザイン(PWD)の教育・保育実践に関する内外の文献を蒐集とそのレビューは、継続的に集積することができ、そのことを通して、保幼小接続期カリキュラムに関する発達論的研究を深めることができた。また、幼稚園や小学校の現場教員等への聴き取り調査(札幌市内の認定こども園)や、小学校でのデザイン実験(北海道内の公立小学校)を実施し、基礎データを蒐集することもできた。さらには、基礎研究として、ICT機器を活用したPWDに関する情報蒐集も行い、その成果を大学の学部紀要論文として纏めることができた。その結果、これらの理論研究及び実践研究を通して、臨床教育学の一つの重要な研究分野を開拓し、国際的な共同研究の基盤を構築することができた。以上のことから、本研究は、コロナ禍に伴い制約を除けば、おおむね順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍による制約が一部解除される場合には、日本(主に北海道と広島県)において、萌芽的形態で行われているPWDに基づく教育実践及び保育実践のエピソード記録を蒐集したい。その際、複数の小学校・幼稚園及び保育園に調査協力を得て、申請者が実践の構想・参与観察・省察のサイクルに参画するデザイン実験を行う。なおデザイン実験の実施にあたっては、申請者の所属機関における研究倫理申請の承認を経て行う。ただし、コロナ禍の危機対策レベルが高まり、フィールドワークが困難になった場合は、当該協力機関とデザイン実験研究の計画について再調整する。本研究の最終年度である本年は、フィンランドのオウル大学やリトアニアの教育大学等ともZOOMミーティング等を通じて国際的な規模で、協働省察を行う。これらの研究活動と並行して、PWDに基づく保幼小接続期カリキュラム開発の典型指針(ガイドライン)を、臨床教育学の観点から構想する。その結果は、日本のみならず海外にも発信し、その成果を、日本の幼児教育・初等教育の実践と国際的な規模での学術研究の発展に貢献したい。
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Research Products
(10 results)