2020 Fiscal Year Research-status Report
ストレスに強い個人特性の比較による効果検証とストレス低減プログラムへの展開
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20K02844
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
吉原 寛 弘前大学, 教育学部, 准教授 (00803206)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 学校ストレス / ストレスマネジメント / 予防教育 / 個人特性 / レジリエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,第1に,質問紙調査により高校生を対象としたストレスの低減に影響を与える個人特性に関する尺度を特性ごとに作成した上で,ストレスとの関連を検討し,ストレス低減に個人の特性がどの程度影響するのか比較検討することである。第2に,得られた知見をもとに,個人の特性ごとにストレス低減プログラムを作成し,その効果を検証することにより効果の高いプログラムを開発することである。 今年度は,ストレスの低減に影響を与える個人特性について先行研究を収集し,文献の購読,整理を行った。 ストレスの低減に影響を与える個人特性として,意図的に今この瞬間に価値判断をせずに気づきを向ける「マインドフルネス(mindfulness)」,マンドフルネスに加えて自己への思いやりに注意を向ける「セルフ・コンパッション(self-compassion)」などについて先行研究を収集した。また,ストレスのネガティブな効果を緩和するパーソナリティ特性として,「レジリエンス(resilience)」,長い時間目標に向けて努力する力,情熱と定義される「グリット(Grit)」,グリットと類似の概念として,社会的な価値において比較的望ましい目標を追求,望ましくない目標追求を抑制するパーソナリティ特性として,「セルフ・コントロール(self-control)」について先行研究を調査した。さらに,経験した出来事に対して独自の観点からの理解,行動,反応するという,「ストレス・マインドセット(stress mindset)」などについて先行文献に当たった。これらの個人特性やスキルは,不安や抑うつ,ストレスへの影響など精神的健康に様々な効果があることが調査で報告されていることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
個人特性に関する先行研究について,様々な特性に焦点を当てて収集したためたため整理に時間を要した。これにより,個人特性を測る測定尺度の整理が遅れているためである。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度収集した個人特性に関する先行研究について,理論的検討をさらに進める。また,個人特性を測る尺度について収集し,必要に応じて暫定尺度を作成するなどして,調査内容を検討する。調査内容については,大学の研究倫理委員会に諮り承認を得る。さらに,調査協力校に調査の依頼を行い,質問紙調査を実施し分析を進めていく。
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Causes of Carryover |
情報収集のため国際学会・国内学会への参加を予定していたがコロナ禍のため中止や延期となり,参加費・旅費の執行ができなかった。コロナ禍の影響にもよるが,今年度,国際学会・国内学会が開催されれば,学会に出席する予定である。また,質問紙調査を実施するに当たり,調査依頼のための旅費,質問紙の印刷や輸送のための郵便費が必要となる。これらの作業を行うために研究補助員などの経費が必要となる。
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