2021 Fiscal Year Research-status Report
社会意識の深化を図り異質を編集するコミュニケーション能力の育成に関する研究
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20K02848
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
寺井 正憲 千葉大学, 教育学部, 教授 (50272290)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 強い異質性や他者性 / 情報の編集としての話し合い / 協同的態度 / コミュニケーション能力 / 自問自答 / 編集による学習指導モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、強い異質性や他者性のある存在と向き合うための対処の方法や態度を教える理論や方法、強い異質性や他者性のある考えや意見を自らのコミュニケーションに取り入れて自らの考えや意見を発展させる編集の学習指導の理論や方法について、アクティブラーニング論、対話論やコミニュケーション論、トランスパーソナル学、社会構成主義などに関する文献から学び、加えて対話の質を高めるコミュニケーションの能力や態度に関わる思考力やメタ認知力の育成についても考察を進め、それらの成果を生かして学習指導モデルを作成することに取り組んだ。 また、トランスパーソナルな視点について、2020年度に引き続き、天野聖子『自問自答』(東京経済)、『人生を変える自問自答法』(PHP研究所)の考え方に基づいた自問自答の行法である瞑感法に取り組み、他者性や異質性と出会う意味や価値、そして他者性や異質性から発動する対話の在り方について考え、行的な認識を踏まえた上で、対話の学習指導論モデルに組み込めるように考察を進めた。 その上で、学習指導モデルを活かして、強い異質性や他者性のある学習場面について考え、単元開発に取り組むようにした。書くことでは、クレームに近いメールやチャットなどのやりとり場面を想定した単元を構想したり、話すこと聞くことでは議論の場面において、意見の対立を前提にして、強い反論や批判に対して対処する考え方や方法、態度の育成を主眼にした単元を構想したりした。コロナの影響によって、学校で授業にかけることができなかったが、授業化に向けて附属中学校の教員と協議を進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究を進展させるにあたっては実践家の協力体制の構築が必要となるが、2021年度は、実践校としてお願いしている附属小、中学校の教員や過去に千葉県・千葉市から派遣され長期研修生の教員が、所属校におけるコロナ対応に追われて、協議は行ったものの、具体的に授業計画を立て、実施、検証するところまで進める事ができなかったことが、大きな原因となっている。研究会なども開催できず、学習指導論モデル構築のための授業参観などもできなかったことも原因の一端となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の計画は、2021年度までに行ってきた強い異質性や他者性が存在するコミュニケーションへの参加の意識や態度、コミュニケーションによる意味生成の知識や技能、編集の考え方に基づく学習指導モデルに基づいて、2021年度に構想した単元やカリキュラムを授業にかけて実践研究に取り組む。特に話すこと聞くことや書くことの領域に関わって、小学校、中学校での実践を行い、録音・録画したものを文字起こしし、実践記録としてまとめる作業に取り組む。 この作業を行うために、2021年度に組織した附属学校の教員や過去の長期研修生などの実践家との授業研究会において、授業の立案や実施、記録の検討を行うようにする。コロナの状況に応じて適宜対面とZOOMの形式を併用しながら、定期的に学習指導やカリキュラムの開発や授業の分析を行う研究会を行うようにする。そのような取り組みに基づいて、授業者や他の実践家と実践の長所や短所を明らかにして、問題点の修正や新たな授業の開発につなげていく。 また、授業実践の成果に基づいて、学習指導モデルの有効性について議論することにする。2021年度までに行ってきたアクティブラーニング論、対話論やコミニュケーション論、トランスパーソナル学、社会構成主義、企業におけるクレームや交渉への対処などに関わる理論や方法に照らしながら、学習指導の実践成果を考察して、学習指導モデルの修正や再構築を図ると共に、その実践的な有効性について検討する。 これらの作業を進め、強い異質性や他者性に対応する話すこと聞くこと、書くことなどのコミュニケーション教育に関わる学習指導モデルの理論や実践を論文にまとめて発表すると共に、また自主公開研究会などにおいてシンポジウムや実践報告を行い、研究成果を多面的に発信する。
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Causes of Carryover |
2021年度は、コロナ禍の影響によって、移動が厳しく制限されたことによって学会や研究会に参加することができず、旅費の使用が発生しなかった。また、本研究を進展させるにあったては実践家の協力体制の構築が必要となるが、附属小学校、附属中学校の教員や過去に千葉県・千葉市から派遣され長期研修生の教員が、所属校におけるコロナ対応に追われて、授業開発を行うことや実践研究会を開催することなどができず、そのための人件費や謝金が発生しなかった。 2022年度は、文献や資料を引き続き購入すると共に、2021年度にできなかった授業を実践し、その記録を文字化する作業のために人件費なども活用する予定である。また、これに加えて、2021年度にコロナ禍のために行えなかった学会や研究会にもオンラインなどを利用して可能な限り参加すると共に、コロナ禍の対応で遅れた実践家との実践研究会の組織を進展させ、学習指導やカリキュラムの開発に取り組み、複数回の実践研究会を開催する予定でいる。これらのために、旅費や謝金、人件費を活用する予定である。
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