2022 Fiscal Year Research-status Report
社会意識の深化を図り異質を編集するコミュニケーション能力の育成に関する研究
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20K02848
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
寺井 正憲 千葉大学, 教育学部, 教授 (50272290)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 異質性や他者性 / 情報の編集としての話し合い / 編集による学習指導モデル / 協同的態度 / 自問自答 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022度は、学習指導モデルの作成に取り組みながら、異質性や他者性のある学習場面について考え、単元開発に取り組むようにした。コロナの影響により対面による話し合い活動が低調であったため、オンラインによる話し合いのコミニュケーション活動や読むことの学習指導におけるコミニュケーション活動に関する学習指導の開発に取り組んだ。 話し合いの学習指導では、全国大学国語教育学会・千葉大会における公開講座のオンラインによる2校の中学校間のコミニュケーション学習指導の開発に取り組み、学習環境や学習履歴の異なる生徒たちが初めて交流を行うために人間関係を形成する場面に焦点化した学習指導を行った。生徒たちの関係構築に関わる方略的な意識や態度の変容に関わる知見や異質性を前提に関係性を構築する学習指導の在り方に関わる知見が得られた。 また、読むことの学習指導では、小学校の実践家と協同して読書活動を活かした批評の学習の開発に取り組んだ。批評の学習は本や作品を評価する学習であるが、評価の観点や意味の価値づけによって異質性が生じ、異質性を前提にしたコミニュケーション活動が実現する。この実践開発を通して、本や作品に対して異質な判断や評価を持つ児童がコミニュケーションを通して自己の考えを強化したり他者の考えを理解したりすることに関わる知見が得られた。 いずれの実践も異質性を相剋を強化するマイナスの方向の処理ではなく異質を前提に関係の構築や自己肯定感や他者理解ということにつながるという成果を得られた。 これらの知見から、学習指導モデルについて異質性や他者性を強化したコミニュケーション活動を前提に構築した学習指導モデルについて、トランスパーソナルな視点をより反映させ、当初の関係性の変容を視野に入れた学習指導モデルになるように修正を加える必要性についても知見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究を進展させるにあたっては実践家の協力体制の構築が必要となるが、2022年度は、コロナの状況から回復しつつあるものの、実践の協力をお願いする学校で児童・生徒の話し合い活動の頻度がコロナ以前の状態にまだ戻っておらず、また児童・生徒の話し合いの体験が少なく、本研究がねらうところを実現するような安定的な話し合う態度や能力の状態になっていないことも、遅れる原因となっている。そのような状態で強い異質性を授業上で演出することの困難さも感じられており、その点でも授業開発の遅れにもつながっている側面も認められる。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度の計画は、2022年度までに行ってきた強い異質性や他者性が存在するコミュニケーションへの参加の意識や態度、コミュニケーションによる意味生成の知識や技能、編集の考え方に基づく学習指導モデルについて、2022年度に実践した授業実践の成果を踏まえて、その修正と再構築に取り組む。実践現場におけるコロナの影響も少なからずあるので、領域を話すこと聞くことや書くことに限らず読むことも視野に入れながら実践開発を行っていくことにする。その上で、実践記録をまとめ、考察を進めることに取り組む。 この作業を行うために、附属学校の教員や過去の長期研修生などの実践家との授業研究の研究協議を進め、授業実践の開発に取り組む。コロナの状況に応じて適宜対面とZOOMの形式を併用しながら、学習指導やカリキュラムの開発や授業の分析を行う研究会を行いたい。そのような取り組みによって、学習指導モデルの修正や強化、さらには学習指導における教材や学習材、学習活動の組織、学習者の支援や指導の在り方についても知見が得られるようにしていきたい。 これらの知見に基づいて、学習指導モデルの有効性について議論するとともに、より効果的な学習指導モデルを構築することにつなげていきたい。2022年度の知見から得られた異質を前提した関係の構築や自己肯定感や他者理解の促進ということに、対話論やコミニュケーション論、トランスパーソナル学、社会構成主義などの知見をさらに加味して、学習指導モデルの修正や再構築を図ると共に、その実践的な有効性について検討する。 これらの作業を進め、強い異質性や他者性に対応する話すこと聞くこと、書くこと、読むことなどのコミュニケーション活動に関わる学習指導モデルの理論や実践の成果をまとめて発表すると共に、自主公開研究会などに開催しシンポジウムや実践報告を行い、研究成果を多面的に発信する。
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Causes of Carryover |
2022年度は、コロナ禍の影響によって、移動が厳しく制限されたことによって学会や研究会に参加することができず、旅費の使用が発生しなかった。また、本研究を進展させるにあったては実践家の協力体制の構築が必要となるが、附属小学校、附属中学校の教員や過去に千葉県・千葉市から派遣され長期研修生の教員が、所属校におけるコロナ対応に追われて、授業開発を行うことや実践研究会を開催することなどができず、そのための人件費や謝金が発生しなかった。 2023年度は、文献や資料を引き続き購入すると共に、2022年度にできなかった授業を実践し、その記録を文字化する作業のために人件費なども活用する予定である。また、これに加えて、2022年度にコロナ禍のためにオンライン開催であった学会や研究会も対面開催となっているので、可能な限り参加すると共に、コロナ禍の対応で遅れた実践家との実践研究会の組織を進展させ、学習指導やカリキュラムの開発に取り組み、複数回の実践研究会を開催する予定でいる。これらのために、旅費や謝金、人件費を活用する予定である。
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